人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2009年10月25日

心の持ち方で老いが始まる(ビジネスサプリメント390号)

セカンドキャリア研修を定期的に始めてまる3年になる。その時にいつも

お尋ねしていることは「若さとは何でしょう?」とご質問することだ。

多くの方は「好奇心を持つこと」「フットワークが良いこと」「イキイキと

元気な姿」などなどのお答えが出てくる。また最近は60歳からの過ごし方

だけではなく、65歳からの生活をどのようのしていくのかが問われるように

なってきた。そう言えば就労年齢は65歳までが当たり前の時代なのである。

そのような社会の変化の中で、最近やや老いを感じる方々に接する時は必ず

次の項目に当てはまるような気がする。

・繰り返しが多すぎる→忘れてしまうのか、アピールしたいのか?
・成功体験に溺れる→過去の栄光が忘れられない、過去は過去と割り切れない方
 が多い
・柔軟性がなくなる→心も体も柔軟性がなくなってくる
・思い込みが激しい→決め付けて物事を考えすぎ
・ネガティブ思考になっている→負のスパイラルになって身動き出来ない   
・自責の念がなく他責ばかりになってしまう→自己を客観的に見ることが出来ない

こんなことを考えていると人間は年齢だけではなく、心の持ち方一つで大いに

変わるものだと思う。有名なサムエル・ウルマンの青春の詩は「年を重ねたがけで

人は老いない、夢や希望や情熱を失うと老いが始まる」と言う言葉を思い出した。

少子高齢化社会を迎えて、団塊の世代が60歳を超えた現在ますますこの層が

「イキイキとポジティブに活躍出来る場」が求められるのではないか。

五木寛之さんが人生を登山にたとえて次のようなことを述べられていた。

「50歳までは登り、その後10年は頂上にいる、そして60歳からは下山が

始まる、下山は登りでは見られなかったものも見えてくるし、下山して初めて

登山と言う」と。私自身も心しないといけないし、人は心の持ち方から老いが

始まることを実感することが多いこの頃である。

2009/10/25 08:03 |

2009年10月18日

若い人と中高年(ビジネスサプリメント389号)

私達団塊の世代前後の人間は確かに「モーレツ型」が多かったように思う。

そして「今の若い人は何を考えているのか良く分からない、こんなことぐらい

我々の時代は当たり前だった」とつぶやくことがしばしばあるのも現実である。

言い過ぎかもしれないが我々世代は「個人よりも組織」を優先する癖が付いて

いたのである。仲間や先輩といろいろと議論しても決して後に残らないし、

また楽しく飲みに行ったものだった。要は良い意味での「一体感が醸成」されて

いたのではないだろうか。

確かに最近の若い人達は「仕事が終わってまで、何故一緒にお付き合いしなけ

ればならないのか?」「自分の時間を大切にしたい!」と言う傾向を感じる。

しかし数多くの若い人達と個人ヒアリングをしていると「我々の思い込み」

があるのではないかと感じることが多いように思う。最近の若い人達も

「たまにはリラックスしてワイワイガヤガヤと飲みにも行きたい」と言われる

方もかなりおられる。世代の変化は確かに起きているし、それは当たり前の

ことである。我々世代が「昔はこうだった!」なんてことを言うから嫌がら

れるのである。今も昔も世代感覚は違っても「幹になる思い」は同じでは

ないだろうか。最近私のセミナーを受講された方から次のようなメールを

いただいた。「コーチング研修を受け何とか活かそうと思っていたが、

なかなか上手くいかない、高橋が言ったその方をどのように育成したいかと

言う熱い思いがなければ、スキルなんて枝葉はすぐ枯れ落ちると言う言葉に

気が付いた」と言われたのである。メールでは分かりにくいのでお電話して

みたら、まだ若い方ではないか、その方が言われるにはノウハウばかり身に

付けることも大切ではあるが、もっと大切なことがあることを忘れていたと

言われた。世代が違えば表し方も違ってくるが、個人も組織も大事であり

「個人を活かす組織」が今求められていることを確信した次第である。

我々世代も若い方の振る舞いを感覚的に受け入れにくくても、意識的に相手の

立場も認めていくスタンスが求められる。

2009/10/18 07:22 |

2009年10月11日

女性を活かす(ビジネスサプリメント388号)

先日朝日新聞に掲載されていたが、今回の総選挙で女性議員もこれまでで

最も多い54人となり、11.3%と初めて1割を超えたそうだ。しかし世界的に

見れば女性議員の比率は134位から120位前後だとか。少子高齢化の現在

中高年の方々の活用と共に女性の力をどう活かすのかが極めて大切なことに

なってくる。また政治や経済活動への女性参画状況を示す「ジェンダー・

エンパワーメント指数」は108カ国中58位であり、先進国の中では際だって

低いのである。まだわが国には「男は外で働き、妻は家庭を守る」という

伝統的な意識があるようだが、この厳しい経済状況下ではそのような考え方は

通用しない。夫婦2人で働くことが当たり前になりつつあり、女性は労働力人口

の4割以上になるようだ。したがって家事・育児・介護などのバリヤの解決も

大変重要な問題である。

元職場である優秀な女性社員が上司に「実は今度結婚します」と報告したら、

何とその上司は「何時辞めるの?」と答えたことがあった。その方はまだまだ

働きたい意思を持っておられたのだが「もう辞める」という事態になったことを

思い出した。誠に残念なことである。真に実感することなのだが「消費者目線」

は遥かに女性の方が持っておられることも確かな事実である。

ある研究では「女性が活躍している企業」は業績も素晴らしいことが実証されて

いる。最近ある企業で優秀な女性社員とヒアリングした時に「あなたは女性社員」

のモデルになって輝いて欲しいと申し上げたら、「女性社員だから」という見方は

しないで欲しいと言われ大いに反省したことがあった。

いびつな人口構成の現在、感性豊な女性がイキイキ活躍出来る職場をもっと作って

いくべきではないだろうか。女性が働きやすい職場は男性も働きやすいのである。

男性のセカンドキャリアを考え「伝承役」として期待することも大切な問題で

あるが、女性が働きやすい職場を促進し働く人たち1人ひとりが持っている多様な

能力が発揮できる社会にならないと、グローバルな競争には勝ち残れないのでは

ないだろうか。

2009/10/11 07:20 |

2009年10月 4日

気づかせ屋(ビジネスサプリメント387号)

NHKTVで長島氏と王氏の50年間にわたるドキュメント番組が放映されていた。

ONの華やかなデビュー時代から現在に至るまでの内容である。天才と努力家

と言われたお2人であるが、陰では凄い猛練習をされたからあの素晴らしい

スーパースターになられたのである。お2人に共通するのは「華やかな現役」

「監督時代の挫折と復活」「病魔との闘い」であった。

良き選手必ずしも良き指導者にはならないと言われることが多いが、両氏にも

そのように言われた時があったようだ。即ち「自分目線=自分の能力が基準」

と思って指導するので、付いていけない選手が出てくるのだろう。

プロだから厳しさは当たり前、しかし選手にはいろいろなタイプがあり押し

付けると伸びない傾向がある。王氏が語られたが厳しく指導ばかりしている

と選手との距離が出来てしまう、一緒に飲み食いし特にコミュニケーションを

大切にされたらしい。悪いところを厳しく指導するよりは「良い部分を伸ばす」

ことが効果的であり、「ナイス!」という言葉を連発されたそうだ。

組織の中で伸び悩んでいる方も、手抜きで仕事をしている人は殆どおられない

と信じるし、また適材適所でない状態の方もおられるだろう。

宮大工の西岡棟梁が言われた「南に生えている檜は南側に、北に生えている檜は

北側に使う」ことが大事という言葉を思いだした。

王氏が語られた「我々指導者は気づかせ屋」と言う言葉が印象的だった。

自分が「そうだ!」と気づき、やらされ感ではなく自ら努力させることが成果

へとつながるのである。長島氏や王氏も「どん底」を見られたから克己心

(自分自身との闘いを克服する心)をお持ちになられているし、未だに気迫を

感じる。組織の指導に携わる方々は「その方の良い部分を伸ばす」「同じ目線」

「スキルだけではなくその方を伸ばしてあげようという気持ち」を忘れては

ならない。「気づきナビゲーター」の私は今後も沢山の方々の「気づかせ屋」

になっていきたいと心した。

2009/10/04 06:54 |

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