叱る(ビジネスサプリメント404号)
以前から「叱る」と「怒る」とは違うとよく言われてきたものだ。
「叱る」は愛情、「怒る」は感情が入ると説明されることが多く、感情的に
ならず、愛情を持って指摘するのが「叱る」と言われることが多い。確かに
その通リだが、また少し違った考え方もないだろうか。
人に注意する時「今から叱る」のだから「愛情」を忘れなくしようとか、
腹が立つが「感情的」にならずにおこうと思ってその場に臨むことは少ない
のではないだろうか。私自身の経験で「怒られた」のだが後で「叱られた」
のだと思い返すことが良くあった。そう!最初に述べたことは基本ではあるが、
お互いの信頼関係が構築されておれば、叱る時に「思い切り感情を入れ込んでも
おかしくはない」と思う。手を出すのはもってのほかだが、机を叩いて大声で
どなりつけることも場合によっては愛情表現かもしれない。いささか乱暴だが
「アホ・ボケ」なんてパワーハラスメントになるような言葉も効果的なことも
あるだろう。しかし「相手に対するリスペクトマインド」がなくては単なる怒り
の感情発散になってしまい、何の効果も出ない。また叱る時は1人で周りに人が
居ない時にすると言う説も良く聞くが果たしてそうだろうか。筆者が随分昔ある
ミスを犯した部下に対して「ボケ!辞表を出せ」とどなったことがあった。
しかもみんなの前であったが、周りには緊張感が漂っていた。問題点の重要性を
全員が共有したのである。但し打たれ弱い人には禁物である、そのことで立ち上が
れないことが生じる。人を見て対応しなければいけないことは言うまでもない。
叱った部下とは「絶大なる信頼関係が築かれていたのである」、その後「カッーと
なってしまったが、あのミスは今後絶対にしてはならないと思い、荒い言葉や態度に
なってしまった、ごめん!」と事後一言添えたのである。その後彼との関係も極めて
良く、彼はその失敗を2度としなかった。愛情や感情論で語るのはたやすいが、
一番大事なことは「叱る」にしても「怒る」にしても相手に対して
「人としての尊敬の念」がなければならないと言うことかもしれない。
2010/01/31 11:30 | パーマリンク