人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2010年6月27日

目的と手段(ビジネスサプリメント425号)

会議と言うものが「必ず何か欠点や失敗を指摘される、出来ていなければ問い詰め

られる、そうすると思考停止状態になり、頭が真っ白になってしまう、答えられない

からまた責められる」ことになっていないだろうか。元職場でもこのパターンが多

かった。そうすると会議で責められることの弁解材料集めのために事前に会議をする

ようになるものだ。全くムダな時間であり、生産性やモチベーションは全く上がら

ない。これは目的と手段を取り違えているからなのだ、目的はどのようにすれば成果

が上がり、良い方向になるかを検討することである、その手段として会議があるのだ

が、会議が目的になってしまい何ら目的を果たしていないことが多い。また会議の他

のメンバーはそ知らぬ顔、会議参加者には「当事者意識」が芽生えていないのである。

このようなムダな時間はますます業績を落とすことになる。ここで会議と言うものを

少し変えて、上手く行っていることを話し合い、それは何故なのかを共有しあう、

成果が出ない場合は被告席ではなく、その問題をみんなで考える風土になれば随分

変わった結果が生まれるのではないだろうか。「人間は誰でも自分に関心を抱いて欲

しい」ものなのだ。本人のストレス耐性にも問題がある場合が多いが「チェック」が

仕事になった風土体質はいけない。いつ怒られるかと緊張しながらの会議参加は面白

くもなんともないし、想像力も創造性も萎縮してしまう。上手くいっても褒めてもら

えない、良いところは無視され、マイナスばかりがクローズアップされるので、傷口

をぐいぐいと刃物で刺されているようになり、「モノも言えない」状態に陥ることに

なってはいけない。この厳しい環境下で何をのんきなことを言っているのかとお叱り

を受けそうだが、このような時だからこそ、良い部分や、上手く行ったことを認めて

あげよう、そうして本来の問題を全員が「当事者意識」をもって気楽に話しあう風土

になれば必ず、良い方向性が見えてくるし、モチベーションは上がってくるものなの

だ。今こそ「目的」と「手段」を考えるべき時ではないだろうか。

2010/06/27 08:01 |

2010年6月20日

就職の家庭教師(ビジネスサプリメント(424号)

先日の日経ビジネスに「ゆとり世代は男子も一般職」と言う記事が掲載されていた。

一般職に応募する男子学生、「就職専門の家庭教師」に指導を受ける有名私立大学

生。買い手優位の厳しい雇用環境を背景に、学生の就職戦線に異変が起きているら

しい。「ゆとり教育」世代が就職期に入ったのである。昨年のブログにも「ゆとり

世代」のテーマで述べたが、中学校入学時、新学習指導要領になっていた87年度

以降生まれを「ゆとり世代」と呼んでいる。その中でも本当に驚いたのだが「就職

家庭教師」なる仕事が登場していることだ。即ち大学受験も塾に通えば、就職も家

庭教師にお任せ、自己分析からエントリーシートの添削、模擬面接などについて、

専門のキャリアカウンセラーが個別に相談に乗るらしい。申し込みから高額な費用

負担まで親が担うケースが殆どとある。手取り足取り他人に頼り、自ら行動を起こさ

ないだろう。このようなことで入社してもまた「新入社員家庭教師」も誕生しかね

ないと書かれていた。そう言えば「ゆとり世代」は指示待ちが多く責任ある仕事を

任されると、ヤル気が出るより「不安」と感じる割合が高い。上司に仕事の相談する

場合①指示②判断③意見のどれを求めるのが適切かをたずねると「指示」を求める

割合が高いのである。自分で考えて行動するよりは、指示されたことを無難にやる方

が楽と考えているのである。マニュアルがあれば安心、でもマニュアルで「ヤル気」

は絶対に出ないし、マニュアル以上のものは出てこないものである。

そう「自立」と言う考え方がどこかへ飛んでしまっている。例え失敗しようと、

そこから貪欲に学びプラスにしていかなければ、激しいグローバル競争には勝てな

い。まるで環境の良いサファリパークに放たれた猛獣のような環境に甘んじていて

はいけないのである。ジャングルに放たれたら自分で餌を獲得しない限り飢え死に

してしまう、今の企業環境はまさにジャングルの中なのである。この記事のまとめ

で就職活動の最前線で起きている異変は、大卒就職率80%という数字が、単に

景気低迷と業績不振を反映した結果にはとどまらないことを暗示しているとまと

められていたのが印象的だった。

2010/06/20 08:08 |

2010年6月13日

フリーな話し合い(ビジネスサプリメント423号)

以前ある企業の若手社員とフリーな話し合いをしたことがあった。メンバーは

「何をするの?」と懐疑的な雰囲気が蔓延していた。やはり召集時にその研修の

目的が徹底されておらず、再度目的を徹底し忌憚のない自分自身の意見を述べて

もらうように仕向けた。今回は私とメンバー6人が参加メンバー、ここで思い

きって「皆さんはやらされ感はない?時間も遅くなったし疲れてはいない?」と

言ってみた。数名から「正直ありますね!」とのこと、折角の時間を無駄にしたく

ないので質問をどんどんぶつけた。こちらの真剣さがだんだんと伝わってきてみん

なの雰囲気も少し変わってきた。終了時刻が来たので「簡単にまとめ」次回に話し

合うことに決定した。その後メンバーの1人から「もしよろしかったら、みんなで

軽く一杯行きませんか?」とのお誘い、そこで思い切ってその会社の「トップもお

誘いしないか?」とぶつけた。もちろんトップは了解済みである。最近の若い人は

飲み会を敬遠すると言うがそうでもなく喜んで一緒に行こうと言うことになった。

少しお酒が入ると「本音」が出るものだ。愚痴やぼやきはなかったし、トップも

遠慮せずにどんどん話された。みんな会社を良くしたいと言う思いを持っている

ことが良くわかった。Aさんは「そのような考えをしていたのか」、Bさんは「今大

きな壁にぶち当たっているのか」Cさんは「そんなに辛い仕事をしていたのか」等々

本当に良く共有できた。やはり甘えも出る、その時は外部の人間である私が苦言

を呈した。何か目に見えない「壁」がだんだんとなくなってくるではないか。

トップも改めて知ることが多い現実に驚かれた様子だ。いろいろと話し合った結果

喫緊の課題が浮かび上がってきたので「じぁー次回はそのことについてみんなで話

し合おうよ!」と提案するとトップもメンバーも全員がうなずかれた。やはり最初

は自分自身の「裃(かみしも)」を脱ぐべきである。そうするとメンバーも脱いで

くれる。メンバーの1人が「もう最終電車ですよ!」と言ってみんなさわやかな笑顔

で別れたのである。こうなると次回はスムーズに真剣に話が弾むものだ。

2010/06/13 07:31 |

2010年6月 6日

職場健診でうつ病検査(ビジネスサプリメント422号)

厚生労働省の「自殺・うつ病対策プロジェクトチーム(PT)」は職場の定期

健康診断でうつ病など精神疾患をチェックするよう求める提言をまとめたようだ。

昨今仕事上のストレスが原因でこのような精神疾患にかかるケースが増えており、

いわゆるメタボなど生活習慣病などと同様に、職場での定期的なチェックを受ける

ことで、自殺や休職など深刻な症状になる前に食い止めようとするものだ。

同省は職場での定期健診の項目の見直しを含めて本年度内に労働安全衛生法の

改正も目指すらしい。うつ病などのチェックは同省が作成した「職業性ストレス

簡易調査票」などを利用することを検討、社員に調査票を配布して、例えば「職場

の雰囲気は友好的か」「上司に気軽に話が出来るか」など約60項目に回答して

診断すると言うものだ。確かにその必要性は大いにあると認めるが、果たして

調査票だけで診断出来るものだろうか。記入する人もチェック項目に正直に答える

かどうかも甚だ疑問でもある。それだけでは半歩進んだ状況であり、もう半歩は、

「職場が活性化」しているかどうかが重要なポイントではないだろうか。お互いに

周りに関心を持って仕事が進められているだろうか。周りの責任者や同僚が「自信

がなさそう、根気がなさそう、集中力がなさそう」な人に早期に気づいているだろ

うか。声をかけ相談相手になっているだろうか。内向き(自分の範疇しか目に入ら

ない風土)・上向き(部下や同僚の変化には気づかず、上司の言動ばかりに気を取

られていないだろうか)・箱文化(自分の仕事以外は全く関心がなく、箱の中に閉

じこもってはいないだろうか)の風土があれば、ますます心を蝕む人が増えてくる。

まずは明るいあいさつ(あかるく・いつも・さきに・つづけて)なされているだろ

うか。お互いに「気楽にまじめな話が行き交う職場」でこそ一番の防止策になるだろ

う。また万が一疾患の疑いが出ても「勤務時間の短縮や休職」、スムーズな「職場

復帰」が出来るような体制も必要である。心身共に健康で「明るい風通しの良い職

場」でこそ働く喜びが真に感じられるものだ。

2010/06/06 07:22 |

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