なでしこの不思議(ビジネスサプリメント470号)
「もうこれで終わり!」と2回も思ってしまった。先日の女子ワールドカップを
朝早くから3時間もTV観戦してしまった。オフサイドが何かも良く分からない
素人ファンの一人であったが、実に爽やかな気持ちになり早起きして良かったと
思った次第である。知っているのは沢選手ぐらいと言うお恥ずかしい限り。男子
は監督が変わるたびに「ジーコ」「岡田」「オシム」「ザック」と呼び方が良く
変わるが、女子は「なでしこジャパン」。
「人と組織」を考える上で多くのヒントに気づかされたのである。心身ともに
酷使する戦いを貫いた選手達には敬服するし、どんな試合でもボールを小柄な
選手がひたすらに追いかけ、つなぎ、跳ね返す姿を印象付けられたものだ。また
選手をまとめあげた佐々木監督の手腕はすばらしいものがある。決勝のPK戦前
の円陣での全員の「笑顔」は何だったのだろうかと思ったが、間違いなくある
清涼感に気づかされた。監督が「ここまできたら儲けもの!」と言って選手達の
緊張感を和らげたらしい。アメリカの選手達の固い表情とは対照的であった。
監督が負傷者をホテルで休めと言う指示を出されたら、沢選手の「試合に連れて
いって欲しい」との要望に応えチームメンバーの気持ちを十分取り入れられた采配
は素晴らしい。まさに現場目線そのものではないか。私がいつも講演で申し上げて
いる5つの(あ)あきらめない・あせらない・あわてない・あなどらない・あてに
しないを実践されている。ある新聞に掲載されていたが世界相手に「柔よく剛を
制す」そのものである。身体的なハンディ、金銭面も含めたプレー環境など所与の
条件が厳しい女子は「こうしたい」より「こうしなければ勝てない」と言う信念が
貫かれている。私が個と組織の関係で一番勉強になったことは、あるミーティング
の時に2人の選手が時間に遅れたらしい、その時に監督は遅れた選手に注意をする
のではなく、参加している他のメンバーに「どうして遅れた選手に声をかけなかっ
たのか!」と諭されたことがあると言うエピソードである。そう!まさにチームを
ワークさせるポイントの言葉である。日本は何か自信を失いかけているが、もっと
自信を持ちたいものである。
2011/07/24 19:20 | パーマリンク