人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2011年12月 1日

間接的戦力外通告(ビジネスサプリメント484号)

先日の日経新聞、「選球眼」と言うタイトルでスポーツライター浜田昭八氏のコラ

ム「地獄をみた選手の再挑戦」を目にした。今年もプロ野球の戦力外通告がなされ

たようである。企業で言えば指名解雇と同じ、以前数百名の退職勧奨をした経験と

その後私自身も間接的戦力外通告をされた時のことを思い出した。

今年も再起に向けての狭き門、公開入団テストであるトライアウトが行われたよう

だ。野球一筋の人生で全く違う道を歩むのは誠に厳しいものだろう。ビジネスマン

は同じような仕事は探せば見つかる可能性がまだあるが、野球となると全く違う分

野になってしまう。記事によると今年の参加者は59人、昨年の33人を大幅に上回っ

ているではないか。その中にダイエーから日本ハム、そして阪神と経験し、のらり

くらり投法と呼ばれた43歳の下柳剛投手もおられたようだ。育成選手やMVPを獲得

された選手もおられ年齢も野球暦も違う多くの選手が参加された。各球団の編成担

当者が見守る中、37投手が4打者にカウント1-1から投げる実戦形式のシート打撃、

打者は違う投手を相手に数本打てるが、投手は物足りない、下柳投手は4人に6球を

投げただけらしい。同じ戦力外でもめぼしい選手は個別に他球団と入団交渉してい

るとある。ここへ参加した選手は、総体的に投球にキレがなく、スイングは鈍いら

しい、何と失望したのか途中で席を立つ球団関係者がおられたとか。ケガに悩んだ

阪神の桜井広大選手は「チームを選べる立場でないし、声をかけてくだされば、

どこでもやる」と言われたそうだ。昔元南海の穴吹選手の「あなた買います」を

思い出したが「私を買って」になってしまったのである。まさにプロは実力がなく

なれば必要がないと言う厳しさと戦っている。そう「ぶら下がる綱はない」のであ

り、自分で綱を作らねばならない。欧州危機や円高が叫ばれる時、2013年春入社を

目指す大学3年生の就職活動が12月1日から本格化する。説明会が集中したりネット

採用が進化したりする時代、生半可な気持ちで臨んで欲しくない。これからはプロ

になると言う自律・自立マインドが今ほど求められる時はないと感じる。

2011/12/01 18:08 |

2011年12月28日

本年も残り少なくなりました(ビジネスサプリメント487号)

今年は未曾有の東日本大震災や近畿南部の大水害など多くの被害を受けた


年です。被災地の方々には心からお見舞い申し上げます。


思えば平成7年1月17日5時46分に突然猛烈な揺れを感じて飛び起こ


された阪神淡路大震災が思い出されます。6434名の尊い命が奪われま


した。もしお昼だったらもっと大きな被害が出たことでしょう。近くの


阪神高速道路は捻じ曲がりバスが落ちかけて、周りの住居は殆ど壊滅、三宮の


建築物で残っているものはなしと言う状況でした。あれから17年が経過し


ましたが、何とか復興されたのです。


その時に思ったことは「あきらめない」と言う言葉でした。


被災地の方々の一日も早い復興を願いつつゆく年を見送りたいと思います。


どうか良いお年をお迎えください。

2011/12/28 21:01 |

2011年12月19日

真心の仕事(ビジネスサプリメント486号)

私事で恐縮なのだが先日かなり傷んできた我が家のリフォームをした。以前お手伝

いした会社から独立されたS社の若いお2人に依頼したのである。久しぶりの再開で

あったがそのお仕事ぶりに私はびっくりした。無駄と思われることは決してムリに

勧めない、逆に費用のかからないような提案をしていただける。また、こちらがお

願いしなくても無料でご担当者の方の気が付かれた細かい部分は進んで修正してく

れたのである。我が家はマンションであるので、リフォーム作業に当たってのご挨

拶として、お2人の方で隣近所の方々にはご丁寧に携帯電話番号までお知らせし、

「何かあればお申し付けください」とご不在であっても再度ご挨拶に行かれたよう

である。目には見えないお仕事だが、共有部分の廊下などは作業が終われば小型の

掃除機で以前よりも美しく清掃されているではないか。出来上がりに満足したこと

は言うまでもないし感激、感動した。最後に彼らとゆっくりとお話させていただい

た。その時に作業の進め方や出来上がりに感激したことを伝えると、「我々の最大

の報酬です」とお2人共が言われる。決してチラシなどはまかないそうだ、今までの

仕事もこれからの予定する仕事も全てご紹介のお客様だと言うではないか、何か仕

事を楽しんでおられる様子だ。私が以前にヒアリングをした時とは本当に別人の様、

彼ら曰く「以前の職場での苦労がなければ今の私達はない」と言い切られたのには

驚いた。要はお客様に喜んでいただくことが最大のミッションであり、そのための

努力は惜しまないということだ。口でお客様第一なんて誰でも言えるが、行動や結

果がご満足いただけないと絵空事になる場合が多い。お2人のお話を聞いている私も

不思議にもどんどんとご紹介したくなったのである。やらされ感など微塵もない、

常に笑顔で明るい、私が「こんな仕事が出来るなんてうらやましいね」と言うと

「変な言い方ですが儲けは考えていません、結果儲けになる仕事をしたいのです」

と答えられ、まさに「先義後利」である。最後に「何でもお困りの時はお知らせく

ださい」と言って美しく咲いているシクラメンをいただいた。

2011/12/19 07:55 |

2011年12月 9日

精神交互作用(ビジネスサプリメント485号)

マネジメントにおいて「思い込み」ほど怖いものはない。ある出来事で全てを決め

つけてしまうことはないだろうか?例えば「簡単なミスを起こせば、彼はミスを起

こす人間」と決めつけてしまう、人事考課における「ハロー効果」と呼ばれるもの

がその一つではないか。そうすると日経ビジネスにドクターである高野知樹氏が掲

載されているコラムに出会った。「気にするほど、症状は続く」と題して「精神交

互作用」と呼ばれるものを紹介されていた。内容はココロの処方箋で、病状を気に

するあまり、何時までも症状を自覚し続けてしまうと余計におかしくなるというも

のだ。事例として学生時代に体育会系のクラブ活動に熱を入れ体力に自信があった

方が、ある年の健康診断で不整脈を指摘された。それ以来通勤途上で階段を上った

時の胸の違和感が気になるようになり、夜は布団の中で、心臓の鼓動が調律を乱し

ているのでは、と気になってなかなか寝付けなくなってしまう。内科で精密検査を

受け、異常所見は指摘されなかったが、胸の違和感は相変わらず続いて気が気では

ないというものだった。要は過度に注意を集中することによって、その感覚が研ぎ

澄まされていき、感知するセンサーがどんどん鋭敏になっていくと掲載されていた。

とらわれ感は場合によりマイナス思考につながっていくことがあるのではないだろ

うか。ココロの持ち方を変えることで感じ方も変わってくる、小さな時計の音でも

気にすると大きな音に聞こえてくる、このような現象を「精神的交互作用」と呼ぶ

そうだ。自分のキャリア形成において、あるいはマネジメントにおいて「精神的交

互作用」は出てきていないだろうか?キャリアにおいて失敗は大きな成功へのステ

ップ、部下育成においては出来ていないことに注目するより、出来ることに光を当

てて大きく伸ばしてあげることが必要ではないか。多くの失敗を経験した私も「精

神交互作用」に陥ったことがしばしばあったが5つの(あ)あきらめない・あわて

ない・あせらない・あなどらない・あてにしない をココロにおいて何とか乗り切

ったことを思い出した。

2011/12/09 09:39 |

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