人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2012年3月11日

1年経過(ビジネスサプリメント497号)

未曾有の東日本大震災から1年が経過し、改めて犠牲になられた方々のご冥福を

お祈りすると共に被災された地域の一日も早い復旧・復興を願うばかりである。

あの時私は前日夜に甲府で講演をして、お昼前に帰阪し14時から大阪中之島ダイ

ビル25階で講演中であった。受講されておられる方々が何だか騒がしい、私は立

っていたので気が付かなかったが、大阪でも長周期地震動が起きたのだ。

しばらく中断したが、壁がひび割れエレベーターはストップしたのである。

震災と言えば阪神淡路大震災から17年が経過したが、あの時のことは一生忘れる

ことが出来ない。早朝5時46分に真っ暗闇の中大きな音と共に突き落とされるよう

な震動で目が覚めた、一時は電気や電話が通じたが、その後は全く通信不可能だっ

たことを思い出した。外に出てみると多くの家屋が全壊し、近くの阪神高速道路

が倒れているではないか。まさに大惨事であった。しかし今回の東日本大震災は、

広域・津波・原発事故と今までの災害では想定外のものが重なった。

TVで「自衛隊だけが撮った0311~そこにある命を救いたい~」と言うドキュメント

番組を見た。被災地の自衛隊の方々の様子や、全国から10万人もの隊員の方々が救

助活動にあたられた生々しい記録で、まさに現場第一線の状況は想像を絶するもの

であった。ある隊員の方は津波の水中で何と18人も我を忘れ救助されたらしい、

小学校の屋上に避難されている方々を救出されるためにヘリコプターで夜間決死の

飛行をされ、朝までに550人を救出された映像もあった。印象的だったのは隊員の

方々の家族の方も行方不明になられていたので、ある責任者の方が「彼を家族の捜査

に戻したい」と発言されたが、総責任者の方は「当てもないのにいく時間はない、

今は我々の任務を果たすべき」と答えられた場面であった。双方共に辛い選択であっ

たことであろう。また福島県の原発事故で空からの水を注入される場面があったが、

「出撃」と言う言葉が使われていたが、自衛隊の皆さん方には頭が下がる思いである。

最後に責任者の方が自衛隊は「士気が高い」と言われるが、そのようなことではない

「人間として何をすれば良いのかを一人一人が感じて動いただけ」と述べられた言葉

が凄かったが、まさに「使命感」で自然に動かれたのであろう。

2012/03/11 07:54 |

2012年3月 4日

使命(ビジネスサプリメント496号)

先日知人から「使命とは命を使うということだ」と聞かされた。「使命感」が簡単

に使われているので私は「使命」と言う言葉を非常に軽く考えていたかもしれない。

そうすると宮城県の村井嘉浩知事が最近「復興に命をかける」と言う本を出された

ようだ、副題に「震災の犠牲者の死を決して無駄にはしない。元気な宮城、東北、

日本を必ず取り戻す。これが私たちの使命です」とあった。そこで使命=ミッショ

ンについて考えてみたい。

私の人生で本気で「使命感」を持って取り組んだのは、倒産後継続店舗社員の

「退職勧奨=勧告」であったような気がする。倒産とは明日から仕事がなくなり

収入の道が断たれ路頭に迷うのである。私が経験した再建型倒産は優良継続店舗の

人間は解雇出来ず、大幅な人数を削減しなければならない。数百名のリストの中

から毎日「もう倒産したのだから、辞めて欲しい」と訴えなければならない厳しい

役割であった。法的倒産であるから横に弁護士が陪席している(もめた時の証人と

して)。何日続いたであろうか?50歳代の今まで貢献していただいた社員の方々

ばかりに対して「辞めろ」と言う厳しさは実践したものでなければ分からないだ

ろう。皆なよく知っているのである、同期の人達もいる。毎日が苦痛で会社に足が

向かない日が2ヶ月続いたのである。まさに「私の使命感」だったかもしれない。

嫌なら簡単に自分が辞めれば良かったが、それは出来なかった。命をなくしたくは

ないが、まさに命を使ったと思う。全く「貝」になられ一言も口をきかれない人、

睨みつける人などがおられたが、「自分が辞めるのは簡単」だが「人に辞めてもら

うのは地獄である」と痛感した。結果として数百名の方々が退職届を出された。

希望退職を募ったこともあったが「希望」と言う名がないと悲劇となる。最後には

私自身も退職したのは言うまでもない。混迷の政治・経済の世の中「本当に使命」

を感じて行動してくれる人達がどれだけいるのだろうか。評論家はずるいと思う、

屁理屈を述べてそれなりにかっこをつけるが「後出しじゃんけん」なのだ。

スパイ大作戦の原題「ミッションインポッシブル=与えられた使命が実行不可能」

を思い出したが、不可能でもやらねばならない時もあるのだ。

2012/03/04 09:35 |

2012年3月23日

65歳以降(ビジネスサプリメント499号)

厚生労働省の「中高年者縦断調査」で、団塊の世代を含む60歳~64歳の5割超が

65歳以降も仕事を続けたいと考えていることが分かったらしい。団塊の世代も今年

から65歳を迎える方々が出てくる。調査時点働いている60歳から64歳の人で「65歳

から69歳になっても仕事をしたい」と答えたのは全体の56.7%で、男性59.5%、

女性52.3%といずれも半数を超えている、「70歳以降も仕事をしたい」と考えてい

るのは全体が28.7%、男性が31.2%、女性が24.7%と働く意欲はかなり強いようで

ある。65歳定年制もどうやら年金受給年齢とあわせたものになりそうだ。この年齢

の方々のマスターされたスキルや仕事に対する取り組み姿勢はまだまだ活かして

欲しいし、高齢者と呼ばれるのは適切ではなく、アクティブシニアなのである。

仕事をする理由は「生活費(63.8%)」が最も多く、次に「生活費を補う(32.2%)

」など経済的な理由が上位を占めたようだ。他には「健康維持(30.2%)」、「今

の仕事が好き(24.2%)」、「社会とのつながり(23.8%)」などが多かった。

このような調査結果を踏まえて考えてみたが、65歳以降仕事を続けていく場合に

大切なことは「健康」である、もちろん心身共に健康でなければならない。私の

場合にはお約束した日時はどんなことがあっても仕事場に行かなければいけない。

昔のように組織に属しておれば「休む」ことも出来、代わりの人に頼めたのである。

昨年声帯を潰した翌日に講演会があり、耳鼻咽喉科で点滴を受けて頓服薬をもらい

講演した情けない思い出がある。先日京都ウオーキングに参加し何と3万歩も歩い

たが、参加者321名殆どが65歳以上であり、シニアの健康に対する関心が高まって

いる。次には「生きがい・働きがい」がなければいけない。漫然と時間つぶしの

仕事は長続きしないものである。私も数ヶ月間あるところで仕事もなく机に向かっ

ていた時があり、自分自身が耐えられなかったことを思い出した。また「その仕事

が好き」でないと続かないだろう。自分の強みはなにか、面白いと思う仕事は何か

を良く分析しなければ「生きがい・働きがい」にはつながらない。

最後に「経済」である、上記の調査でも経済的な理由が上位を占めたごとく、

やはり実益も大切なのである。この3つの要素がバランス良く保たれた状況で65歳

以降も仕事が進められればこんなに素晴らしいことはない。

2012/03/23 10:24 |

2012年3月18日

もの言わぬ人(ビジネスサプリメント498号)

ある組織で個別ヒアリングをしていた時のことである。大変スタンスも良く物事の

本質をきっちりと把握される管理職の方がおられた。ところが話の核心になると

口をつぐまれる、普段もあまり口数が多い方ではないようだ。

自分から意見や意思を発露しないと周りには認知されないし、存在感もなくなる

のではないだろうかと申し上げたのである。しかし自分はこのようなスタイルで

今まで来たので、今更それを変えるつもりはない。もし誤解されようとも構わない

と言われる、驚いたことには「本当の自分は傲慢なのです」とも言われたのだ。

メンバーからの信頼感はかなりあるようだし、日常メンバーとの間では何ら問題は

なさそうだった。やはりその方の上司と上手く行かないことがあったようである。

以前はいろいろと上司に進言や諫言をされていたが、上司は一向に聞かれるスタン

スはなく、どうやら陰で彼のことを批判されていたことがあったらしい。一番良く

ないことであり、彼は言ってもムダと思い込んでおられ、おそらく目に見えない

ストレスは溜まっておられることと推察出来た。人間というものは甘言(心地よい

言葉)を喜んで受け入れるが、換言(諌める言葉)は受け入れたくはないものだが、

それでは組織は腐ってくる。そこで上司の方にそれとなく彼のことに触れて見たの

である。そうすると彼は以前意見をいろいろと言ってきたが、かなり強引で決め付

け的なことが多かった、もう少し建設的な意見を言うようにと示唆したが、治らな

いしそのうちあまり言わなくなったとのこと。彼はご本人が言われるように「傲慢」

なところが出ていたのではないだろうか、そして上にはもの言わぬ人になったのだ

ろう。これで良いはずはない、そこでかなり時間をかけてご本人には言い方を変え

てポジティブな言い回しをすべきだ、また上司にはもっと信頼関係を築きその方が

理解出来るように示唆をすべきではないかと申し上げた。それから数ヶ月経って

メンバーの方々とヒアリングをしたら、もの言わぬ人が最近明るくなられ、発言も

多くなったとのこと、そのままであれば本当に組織が沈滞化したままだっただろう。

2012/03/18 07:34 |

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