人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2015年2月15日

教えるとは(ビジネスサプリメント601号)

随分前になるが、若い高校の先生から生徒に向かって投げかけた以下の新聞の投稿記事を思い出した。
「私は25歳で高校教員になって3年目である。生徒たちには何時も言っている。授業中の居眠りは結構であるが、授業を邪魔してまじめに聞きたい生徒の権利を侵害することは許さない。高校は義務教育ではない。学校が面白くなければ辞めればよい。私は生徒たちにどんどん授業に参加して欲しい。自分も寝る暇を惜しんで勉強している。私の知らないことを質問されると意欲が湧いてくる。生徒に負けたくないからだ。自分が嫌な授業を捨てる生徒もいる。でも好きな事しか出来ない人間なんて社会に出たら誰からも相手にされない。私も社会に出て初めてわかった。何でも一生懸命にやっておくべきだ、必ず役に立つ。嫌なものや嫌いな人との付き合いを勉強しないと、何時までも子供だ」確かこのような内容だったと思う。なんて素晴らしい先生かと感心したことがあった。この先生と生徒を、上司と部下に置き換えて考えてみることも出来る。
以前ご支援していた企業で24歳の若手社員とヒアリングをした時のことである。入社時は上司と部下の関係は非常に良かったと聞いていたが、彼は「上司の言うことが良く変わる、とても本気で付いていけない、このままだったら辞めようと思っている」と言うではないか。何があったのか詳しく聞いてみると、自分が進めていた仕事の進め方を否定され、「自分で考えて改善せよ」との指示だったらしい。二人の話し合いはその後全くないらしい。上司は「自分の言い方に問題があったのか」を考えていなかったし、彼は言われたことが、権威や地位だけで抑えつけられたと単純に勘違いしている。
上司は上記の先生のように「自分も勉強し努力する姿」を見せていたのだろうか。彼は嫌なことを言われたからモチベーションが落ちただけなのか。言われたことを真剣に捉えて改善する努力をしないと、今後の伸びが期待できない。
私は彼に「指摘があったことは君にとって大きなチャンス、そこで工夫し改善した姿を上司に見せるべきではないか」と諭したのである。彼は冷静になりどうやら納得したようだ。そして上司とも話し合い指摘の仕方や、その後の彼の努力ぶりを良く見て彼に関心を持って欲しいと伝えた。
数日後彼から「アドバイスありがとうござました、改善の仕方を上司に伝えました」と明るい笑顔で私に報告があった。

2015/02/15 09:26

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