人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2015年4月15日

労働生産性(ビジネスサプリメント605号)

労働生産性とは最近新聞等に良く出てくる言葉であるが、就業者がどれだけ効率的に仕事をしているかという指標のことである。就業時間を過ぎても上司が働いているから帰りづらいといった理由で無駄に残業すると労働生産性は下がりやすい。
企業の場合、営業利益や人件費、減価償却費などの合計を従業員数で割って計算する。国の労働生産性は国内総生産(GDP)を就業者数で割って算出する。
何と日本の1時間あたりの労働生産性は2013年に41.3ドル、経済協力開発機構加盟34ヶ国のうち20位にとどまるそうだ。トップはノルウェーで87ドル、アメリカも65.7ドルと4位、労働政策研究・研修機構によると日本では週50時間以上働く人の割合が32%とフランスの3倍にのぼる。ムダな残業が生産性の低下につながっている可能性が高いと言えるし、まだ時間の長さで評価されているケースがあるのかも知れない。
私が勤務していた数十年前の思い出なのだが、今日は18時から麻雀の約束をしていると決まっておれば、素早く仕事を進めて、定時の17:45分には終わったものだ。多分何も予定がなければ集中せずにだらだらと残業していたかもしれない。そう言えばご支援していた企業事例でお昼時間になっても上司が席を立たないとみんなが昼食休憩にいかない組織があった。何故みんな席を立たないのか聞いてみたが、以前からそのような風土で、自然にそのスタイルに慣れてしまったというではないか。おそらく12時のチャイムがなってからの労働生産性は著しく下がっていたのは確かだろう。上司に聞いてみたら嘘のような話であるが「その状態を自分自身何も意識していなかった」とのこと、早速改められた事例を思いだした。
また反対に10数人の小さな事業所では、責任者が部屋のカギを持っており、定時が来れば「さぁ終わろう!」と声をかける、残っている人がもしあれば、明日にまわすか、全員で手伝って一緒に退社する癖を付けていたところもあった。
最近ではホワイトカラーエグゼンプションという言葉が出て来たように、より労働生産性を上げていくための取組みが数多く出始めて来た。伊藤忠商事が午後8時以降の残業を原則禁止、早朝の時間外手当の割増率を25%から50%に変えた。先日の日経新聞によると「残業削減へ朝方勤務、政府が助成金検討」という記事も掲載されていた。いずれも従業員の残業時間を減らし、労働生産性を高めるのが狙いであろう。これからは労働時間が長い方が評価されるという時代ではない、如何に限られた時間で大きな成果を出していくかが問われるのである。日本では生産年齢人口が急激に減ってくる現象は避けられない、いよいよ労働生産性の向上が不可欠になってきたのである。

2015/04/15 08:56

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