人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2015年5月 1日

格差(ビジネスサプリメント606号)

地域格差が悪化していると答えた人の割合が6年ぶりの高水準になったことが、内閣府が行った「社会意識に関する世論調査」で分かった。
そうすると先日の朝日新聞の「地方と都市 賃金や雇用に違いは?」という記事が掲載されていたので紹介する。
厚生労働省によると、2014年の残業代やボーナスを除く平均賃金は、全国平均で月29万9600円となり、前年より1.3%増えた。都道府県ごとにみると、大企業が集まる東京が37万7400円とトップで、神奈川、大阪、愛知と大都市圏が続いた。平均賃金の最も安いのは青森の22万6600円、東京より4割ほど少ないらしい。春闘ではトヨタが4000円のベースアップがあるなど、大企業が多い都市部の上げ幅の方が大きく地域間の差が広がる懸念があるという。
パートら非正規社員の給料と関連する「最低賃金」にも地域格差はあり、鳥取、高知、大分、長崎、熊本、宮崎、沖縄の7県は自給が677円でトップの東京よりも211円安い。賃金が低い県に共通するのは働き先が少ないことだ、有効求人倍率を見ても今年1月で東京が1.67倍、最も低い沖縄県は0.76倍だった。
しかし地方では家賃などの物価が安く暮らしやすい面がある。高速道路や鉄道、空港の整備も進み豊かな自然にも恵まれている。インターネットの発達により地方で暮らしていても様々な分野の最新情報を知ることも出来る。都会を離れふるさとを含めた地方で就職したり、起業したりする動きも増えている。UターンやIターンも増えている。また大手企業で本社機能を地方に移したところも出て来たようだ。まさに政府が進めようとしている地方創生の時代となってきた。先日の経産省の調べで住みやすいところ1位は何と松江市だった。
日本総合研究所が都道府県ごとに調べている「幸福度」ランキングでは14年の調査で福井県が総合1位になったとある。持家の比率が高く、待機児童がゼロなど子育てにも有利、正社員の比率が高く、働きやすさなど様々な指標で評価されたらしい。先日福井県で講演会があり赴いたのだが、いろいろと県の創生に努力されている様子だった。大和総研の鈴木氏は「これからは地方でも1人当たりの生活水準は改善してきており、格差が拡大しているとは単純にいえない」とコメントされていた。政府の地方創生交付金の配分も決まった。これからの時代は一極集中ではなく、地域ごとに知恵を絞って格差を縮め、活性化をしていかなければいけない時代に突入しているのは間違いない。

2015/05/01 05:22

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