人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2008年3月28日

トップは孤独(ビジネスサプリメント305号)

企業の不祥事でお詫び会見が良くTVで放映される。

また政治家や官僚の方も度々そのような場面が多くなってきた。

形だけならもういいよと言いたくなる。

その中でも驚いたのは東芝社長の「HD-DVD」事業からの撤退会見だった。

何とお一人でされているではないか。全ての質問も一人でこなされている。

ずらり役員一同が並び、横でささやくような不細工な姿なんて見たくない。

みんな本気でお詫びされているとは到底思われないのは私だけだろうか。

トップは孤独なのである。その勇気が無ければ務まらない。

私も倒産時に兵庫県加古川市で記者会見なるものをしたことがあったが、

4人が居並び本当に緊張するものだ。

また質問も誰が答えるか譲り合う姿はみっともなかった。

東芝の撤退は英断だったのではないか。現場は「捨てないで欲しい」と言う

気持ちが出て当然であろう。そして躊躇して延びてしまうものだが、

それでは遅いのである。「速い決断と、遅くても正しい決断」のどちらが

大事かと言えば、このような混迷した世の中では間違いなく「速い決断」

ではないだろうか。

もし決断後間違っておれば即修正すれば良い。

企業の「選択と集中」が求められている現在、トップの決断は誠に

孤独なものである。今の世の中は決断が遅すぎることが多い。

その結果日本パッシング(日本はずし)から日本ナッシングになるような気が

してならない。トップになる方はまさに「正念場」で孤独に耐える力が無ければ

ならないと思う。

2008/03/28 13:08 |

2008年3月21日

「踊り場」を考える(ビジネスサプリメント304号)


19日(水)の関係閣僚会議で大田経済財政担当相は景気の基調判断を

下方修正し、会議後の記者会見で「景気は踊り場的な状況にある」

と表明された。

今の景気回復は2002年2月に始まり戦後最長記録を更新中だが、

踊り場は過去2回あったようだ。ここで言う「踊り場」とは「景気の回復が

一時的に停滞する状態」を言うのである。

言い換えれば「足踏み」「横ばい」の状態なのだ。

住宅建設のみ持ち直しつつあるが、これは改正建築基準法の施工に

伴う現場の混乱が落ち着いてきたためのようだ。

今の政治も経済も早く「踊り場」から脱出して欲しいものだと思うのは

私だけではないだろう。

拙著「人生の踊り場を迎えた――団塊の転職」でも「踊り場」を使っている。

私の「踊り場」はまさに階段の踊り場の意味で使った。

そう200段もある階段を「踊り場」なしで登ろうとするとかなり厳しいが

「踊り場」があるから登れるのではないか。

人生にも「踊り場」を設けてスムーズに登る方策を考えるべきと言う意味で使った。

即ち「停滞」ではなく「越し方を振り返り、方向性を確認し直し新たな登り方や、

違う階段を登ってみよう」と言う意味なのである。

英語では「踊り場」のことを「landing」とある、着地・着陸の意味もあるのだ。

そして「踊り場」の意味もあり→で「flight」<飛ぶこと>につながっていた。

そう一旦着地して燃料補給してから「新たな飛び立ち」へとつながらないといけない。

今の政治・経済の「踊り場」もこのようなポジティブな意味合いで解釈しないと、

衰退へのつながりになれば非常に怖いと思うこの頃である。

2008/03/21 10:12 | | コメント (1)

2008年3月14日

感情労働とは(ビジネスサプリメント303号)

最近クレーム処理の講演依頼が多くなってきた。

私は実際に多くのクレームを受けてきたので、実話でお話が出来る。

もう当たり前のことを申し上げても興味を示されないことが多い。

ケースがあって「どのようにしたのか」「その結果どのようになったのか」

「そこから学ぶものは何か」が求められている。

その時に最近「感情労働」なる言葉が使われだしたというお話をする。

アメリカの社会学者が「肉体労働」「頭脳労働」と並ぶ第三の労働形態

として提唱されたとそうだ。感情労働とは「自分の気持ちを押し殺し、

相手に合わせた言葉や態度で対応する仕事」とある。

クレーム対応はまさにこの仕事ではないだろうか。

日経新聞に掲載されていたが日本では働く人の三人に一人は

感情労働とか・・・・・

感情労働も組織の中で潤滑油的に使われることは納得出来るが、

このような振る舞いばかりを求められればかなり厳しい状態である。

クレームも処理の方法ばかりに目が移り、本質の問題点の解決を

考えないようでは本末転倒である。

クレームとは相手の求めておられることと、こちらが行ったことが大きく

かけ離れた時に起こる。すなわち「ご期待されるレベルに応えられなかった」

時なのだ。全ての方が言われるとは限らない。言うことは凄い勇気が必要なのだ。

言わずに去る方が一番怖いのである。クレームの処理よりも、

クレームを少なくするためには「どのような問題点を潰し込むべきか」が必要

であると、何時も申し上げている。

2008/03/14 07:10 |

2008年3月 8日

ポジティブに考えよう(ビジネスサプリメント302号)

ダイエットを心がけている人が甘いものを食べるとますます太るのが

常識である。しかし太らないと思い込んで食べるとかなり影響が

少ないと聞いたことがあった。

「プラシーボ効果」と言う言葉があるが、薬理効果のない単なる無毒の

粉末でも「これで眠くなる」と思えば効果が出ることが多いそうだ。

有名な上杉鷹山公の言葉に「成せばなる 成さねばならぬ 何事も 

成らぬは 人の 成さぬなりけり」と言うものがある。

ことほど左様に良い意味での思いは自分の行動に大いに影響するものだ。

調子の出ない時や、悪いことばかりが続く時はネガティブに考えてしまい、

ますます負のスパイラルになってしまう。私も何回も経験済みである。

「そうか!このことは将来、きっと役に立つ」と思い込んだら回復も早いし、

結果大きな糧になることが多い。

但馬の元教師でおられた東井義雄さんが「夜が明けるから陽が昇るのではない、

陽が昇るから夜が明けるのだ」と言う言葉を残された。

私はこの言葉に随分と勇気づけられた。

そう、自らが動かないと何も進展しないし解決されない。

全て他責ではなく「自責」なのだ。

迷ったらともかく具体的に動こう!そうすると「具体的な結果」が出てくるし、

また考えて取り組めば良いのだから。

2008/03/08 07:34 |

2008年3月 1日

新人の気になること(ビジネスサプリメント301号)


もうすぐ会社などの組織に新人が入ってくる季節になる。

日経新聞の別冊に「新人さん、ここに気を付けて」と題して

ランキングが掲載されていた。

1位は「挨拶が出来ない」、2位は「メモを取らない」、

3位は「敬語が使えない」であった。

そのようなことを知らない、教えられていない、企業で学習するものだ

という傾向があることが怖い。

「挨拶」は基本中の基本、40年前に私は「ともかく大きな声で挨拶する」ことを

仕込まれた。「おはようございます」「お疲れ様です」「お先に失礼します」の

三つの「お」は当たり前だった。

企業で個人別ヒアリングをするが「ノートやメモ」を持って来ない人が多い。

私の新人の頃は、名前を呼ばれたら先ず「ハイ!」と元気良く答え、

筆記具を持って上司席の前に行かなければ、指示はもらえなかった。

お陰さまで今でも、メモは必ず携帯し失礼の無いように書く癖が付いている。

「敬語」は分からないのである。先ず学校でそのようなことを言われないし、

家庭でも言われない。また学ぼうともしない。

「上司・同僚を問わず、最初からタメ口」が当たり前なんて世界がある。

一方受け入れ側の責任者にも問題がある。気が付いても

「嫌われるから言わない」なんてヤワな上司が多いことも問題である。

「鉄は熱いうちに打て」と言うが、もし上記のようなことがあれば、

即座に注意して、何故そのようにするのかを「気づかせる」事から

始めないといけない。そこから仕事の基本がスタートする。

2008/03/01 19:20 | | コメント (1)

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