人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2015年6月15日

セブンイレブンの変化対応(ビジネスサプリメント609号)

過日の週刊ダイヤモンドに「鈴木敏文の破壊と創造」と題した記事が掲載されていた。
概要を簡単にご紹介すると次のようなことである。
セブンには悩みがあった、日販約66万と競合チェーンに10万円以上の差をつけ独り勝ち、しかし他チェーンとの差が10万を下回る地域があり、それが関西だったらしい。関西の商品作りを抜本的に立て直す、西日本プロジェクトが発足、商品本部のエースが単身で関西に乗り込んだ。関西はどこも商店街が元気、そこにヒントがあるということで、担当のエースは各地の商店街や、老舗で人気の飲食店を回ることから始めたとのこと。どこもリーズナブルな価格でおいしいものを提供していることを実感された。関西の客は商品を選ぶ物差しの基準が高い、そこで関西でセブンは他チェーンとの優位性はないと痛感された。まずは米飯、パン、麺など商品のベースとなる食材の質を上げることにとことん取り組まれた。米の食感が悪い、麺がぼそぼそしているなど一つ一つを見直していかれた。地道な努力を続け3か月を過ぎたころ、商品の売り上げが伸び始めたらしい。
例えばざるそば、麺は全国共通だがつゆを変えた。私も経験があるが関東のつゆは味が濃い、しかし関西は薄い、麺をつゆに軽くつけて食べる関東、しっかりとつゆにくぐらせる関西では、ざるそばの食べ方そのものが違ったのである。
「セブンのざるそばの理想型はこれだ、という思い込みが社内にあった」ことに気づかれたのである。関西では関東風の商品が地域の嗜好にあっていなかったのだ。つゆの味付けを変えてオーナーたちに試食をしてもらったところ「つゆを変えて欲しかったのだ」と喜びを持って迎えられ、即販売すると、低迷していた関西地区のざるそばの販売個数が全国平均を超えたそうだ。
全国どこでも同じ商品を並べ、大量仕入れで調達コストを引き下げ、価格競争力を付けるという時代は、世の中の変化と共に変わってきたのである。かつては東京の商品が目新しかったので、地方でも売れていたが、そのような時代は終わった。
鈴木敏文氏が何時も言われる言葉であるが「我々のライバルは競合するお店ではなく、常に変化するお客様のニーズである」を実践に移されたのである。
我々が心しなければならないのは、「常に現場を見ること」「現場に問題点が山積されている」「これで良いと思った時点で衰退が始まる」「思い込みや決めつけほど怖いものはない」ではないだろうか。

2015/06/15 06:13

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