FIFA女子ワールドカップ カナダ2015が終わり、日本は準優勝、選手たちの堂々とした活躍ぶりだった。主将の宮間選手は「目標には一歩届かなかったが、出来る限りのことはチーム全員でできた、後悔はない」と力強く語った。その中にあって、やはり佐々木監督の采配は見事であり、日本のリーダーでも最も注目されている方ではないだろうか。
彼は以前次のように述べておられる。「分かってくれないと、相手に責任をなすりつけているようではいけません、マネージャーである私自身の考えが間違っていることもある。その際、監督が間違っていると、選手が言ってくれる。そこで、自分の問題に気づかされます。真っ当な指摘であれば、当然受け入れる。選手の言動によって監督が学ぶことはたくさんあるのです。部下が、間違っていると素直に言える体制作りは必要ですね。トップの過ちを部下が言える風通しの良い環境が、お互いにとっての信頼関係を構築する条件になるからです。経験が豊富な指導者とはいえ、下の意見をないがしろにしてはいけません。何も言えない空気になれば、選手ばかりか、上司である本人の成長も望めません」と。甘言は要らないが諌言が大いに結構という組織体になっているのだ。
何時も私がお話している内容の核心を付かれた発言だった。まさに「現場こそ命」であり机上の空論では崩壊と言う危機が口を開けて待っているのだ。今でも私自身がトップになった時に本当に現場の真の意見が伝わってきたのだろうかと反省することが多い。何でも言えるなんて嘘、それは形だけと言う見方もあるかもしれないが、やはり生き残れる組織とは「気楽にまじめな話が出来、異論の場合は必ず自分の考えが述べられる風土」が必要となる。「聞いていない」と言うリーダーは自分の姿勢に問題はないだろうか。「面従腹背」ではどこかで綻びることは自明の理、部下の立場で「NO」と言う勇気の大切さ、上司の立場で「聴く」度量を持たないといけない。イエスマンばかりの組織は大きくつまずき、取り返しのつかないことになると言い切れる。なかなか結論が出ず先送りする、強引に納得させずに引っ張っていくなどの事例が多いのは、世の中の閉塞感が蔓延しているからであろう。但し真の危機のときは力強いスピーディーなリーダーシップが求められることは言うまでもない。
2015/07/15 06:58