人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2015年9月 1日

退職引きこもり(ビジネスサプリメント615号)

最近中食という言葉を良く耳にする。調理済みの弁当や総菜などを購入したり、配達してもらったりして、家庭内で食べる食事形態のことをいうらしい。
先日の朝日新聞に「読み解き 現代消費」というコラムがあった。リクルートライフスタイルの調査によると男性は30代40代と60代、女性は60代で中食のシェアが大きいとある。男女とも60代が活発に利用している点が注目である。団塊の世代のライフステージが変化しているのが目立つ。定年退職に伴う「自宅引きこもり夫」の増加と述べていた。リビングくらしHOW研究所の調査では、夫が退職した50、60代の女性に「1週間のうち、夫が家にいるのはどのくらいか」と尋ねると、「ほぼ毎日」が38、5%に達した。「家にいる方が外出より多い」の25%を加え、6割以上の夫婦で夫が「自宅引きこもり派」であることがわかったとある。一方、「5年前と比べて自分の時間が増えたと思うか」の質問に「減った」と答えた女性の割合は、夫が現役の場合は18、6%なのに対して、夫が退職すると31、6%に跳ね上がったとある。要は妻の自由時間が減るのは、退職した夫が自宅に長くいるために、食事の世話に時間が取られるからなのだ。これが中食需要を拡大する背景になっているのかも知れない。
先日2014年の日本人の平均寿命は女性86、83歳、男性80、50歳で共に過去最高を更新したことが厚生労働省の調査で分かった。女性は3年連続世界一、男性は前年の4位から3位になり、世界有数の長寿国であることを改めて示していた。超高齢化社会の到来である。また米ワシントン大による「健康寿命=介護が必要でなく、日常生活に支障が出る病気にかからず自立して過ごせる期間」が発表され男性71、11歳、女性75,56歳で男女共に世界一だったようだ。この調子でいけばますます中食の時代になってしまうだろう。
セカンドライフで「教育」と「教養」が大事と良く言われるが、これは家に引きこまず「今日行くところ」「今日用事がある」の言い換えである。私も60代最後の年を迎えたが、家に引きこもっていてはダメを肝に銘じている。
私の知人が50代後半で長年勤務した会社を退職し、その後何社か違う会社を経験、60代は生活保護の公的な仕事に携わり、活躍された方がおられた。そして70代になって完全退職され、何と今イキイキされている。自宅には殆どおられず、ジム通い、老人大学に入学され海外旅行には必ず参加し、毎日を楽しんでおられる。驚くのは医者と縁がなく薬は何も飲んでいないとのこと。これからは少子化で高齢者が社会に貢献する場面はどんどん増えている。家に引きこもらず、外に出てみよう、中食だけではなく、自分で料理を作って見よう、たまには外食もしてみよう。
老後で大事なことは「健康」「経済」「やり甲斐」の3つではないだろうか、
3つをバランス良く毎日を楽しみたいものである。

2015/09/01 07:40

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