人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2015年11月 1日

現場の声(ビジネスサプリメント620号)

売る側で本当の意味での議論がなされていないことが多い。分析は出来るが
「だからどのようにしていく」という具体的アクションが不足している。
一番大事なことは「どうしてなのか?」をもっと追究していかねばならないのではないだろうか。
幹部だけが集まって話し合っても真の分析はなかなか難しい、そう!もっと現場を見ること、巻き込むことが大切なのである。そして「Why」から「So What」にならなければいけない。So What は「だから何なの?」「その意味は?」であり、そのことを考えることが欠落していることが多いのが現状ではないか。
「(どう考えても伸びないところを)何とか伸ばせ!」というのが会議の議論の中身になっているケースが多い。昨今の不正会計などはその典型ではないだろうか。私も経験があるが、数字が伸びないと、部下の人達に「何とかしろ!」と言った覚えがある。そうするとあってはならない「空売上げ」などに手を付けやすい。事前にチェックできる仕組みがあったので未然に防げたが、上から言われたら「はい」としか言えない風土そのものに大きな問題があることを、トップが気づいていないことが怖い。前年比80%の売上げを100%以上に伸ばすことは極めて難しい、ではそのマイナス20%を発想の転換をし、現場の動きを把握してどのようにアタックしていくのかが問われるのである。結局は結論が出ず「みんなで頑張っていこう!」の精神論で終わってはその時間が無駄になってしまう。
一番困るのは「出来ます」と言われて、半ばあたりでとうてい及ばないことが判明した時にはもう打つ手がない。本当に売上げが上がらず困っているのは「現場の人」であり、その方達を巻き込んで解決策を考えることが大切なのであり、成果に結びつくものだ。机上で意見を戦い合わせてもなかなか具体策は出てこない。
最終的に売れない原因は我々の考えと、お客様のニーズとのギャップがあるからなのだ。「我々の常識が、お客様の非常識」になってはいけない。
いくら「差別化・特化・工夫」の施策を発想し実行しても、お客様のニーズとのミスマッチを起してしまう。その反対のルートで、お客様のニーズから「差別化・特化・工夫」の施策を考え行動に結びつけなければ、成果は出てこない。

2015/11/01 06:00 |

2015年11月15日

受け身(ビジネスサプリメント621号)

多くの個人別ヒアリングをしていて最近の印象的なケースをご紹介したい。
彼は中途入社3年目の男性社員、3回のヒアリングを行ったのである。このヒアリングの主旨は聞いていたようだが、初回は「何を聞かれるのか、何のためなのか?」が疑心暗鬼で非常に硬い雰囲気で始まった。私が「あなたの人物評価をしているのではない、そんな仕事はしない、第3者の利害関係のないものが、私の過去の経験値から学んだことを参考にして、あなたの隠れた部分に気づいていただくものだ」とかなり熱くお話をした。しかし初回はあくまで私が主導でお話が進んだが、質問に対しては明確なお答えをされる方であった。
2回目の課題を与えて終了、見ているとかなりメモ書きをされていたようだ。
その後2回目のヒアリングの日が来た。彼は課題に対して忠実に検証を行い、まとめた資料まで作って、私に渡してくれたのは驚きであった。2回目も課題を与えて終了したが2回目は、かなり彼からの発言も増えてきた、しかし何か物足りなく感じるところがあり、気になっていた。いよいよ最後の3回目の場面が巡ってきた。彼はいままでにも増してまじめな姿勢でお話になり、再度資料も作り直してくれていたのである。3回目が終わりの頃に私は彼に「今までは私が指摘したことに対して忠実にお答えをいただいたし、必ず実践に移して欲しい」とお話して「こんな機会はなかなか巡ってこない、何か私に質問はありませんか?」とお尋ねした。そうすると彼は「今までのお話で分かってきましたので、別にありません」と返答してきたのである。
そこで私は少し意地悪に「あなたは3回とも会社から言われてヒアリングを受けたと言うスタンスしか見えなかった、こんな機会はめったにない、自分から何か聞いてみたいということはなかったのか、つまりこのヒアリングは何時も受け身だったのか?職場でも上司から言われたことに対して問題意識を持って取り組んでいるのか?言われた通りにミスなく仕事をする癖がついているのではないか?」と言ってみた。彼は「今イラット!としました、何故なら私の一番出来ていない核心をついた言葉だったからです」と言うではないか。私は「ごめんなさいね!それに気づいて欲しかったので、わざと嫌なことを言いました、指示待ち人間になって欲しくないので」と付け加えた。最後に彼はにこやかな表情になり「ありがとうございました」という言葉で締めてくれたのである。

2015/11/15 06:13 |

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