前職でまとめていたある小冊子が出て来た。これは現場販売員や外商係員からの生の声の集積集である。「売れない」と思い込みをしているが本当は「売っていない」のではないだろうかという疑問からまとめたものだった。
今の時代と経済情勢は大きく違うが、小売りの原点に大きな変化はないと思うので少しずつご紹介していこう。
○お客様のニーズや買い方は「単品」から「コーディネート」へと変化
・紳士傘と婦人傘をペアでお求めになるお客様が多いです、但し手袋やマフラーは1階では婦人ものしか展開していません。冬場になり特にクリスマスシーズンになれば、非常にお客様からの紳士物との同一展開のご要望が強まるのです。「紳士物は6階です」とご案内すると、「6階ならもういいわ」とのお客様も多いのは事実です。是非、紳士物との同一展開を考えても良いのではないかと思います。
<今はもう男性の日傘が売れる時代であり、世の中の変化は誠に激しい>
・婦人服と婦人靴の連動が強いです。若い女性が欲しいのはまず服、そして服 にはそれに合う靴が不可欠なのです。服を買えば必ず靴が欲しくなる、金銭的に余裕があれば次にバッグになります。買ってきた商品の包みを開けて靴を品定めしているお客様を婦人靴売場でよく見かけます。婦人服と婦人靴売場が同一フロアであれば良いと思うくらいです。またバッグと靴の方が関連性は低いのではないでしょうか?バッグは財布と連動があるように思います。
<今はトータルで販売しているお店が多くなりセレクトショップが人気>
・「こういう場合には、このワインを、この食材には、こちらのワインを」という様に、コーディネートした提案型の売り方をしないと、お買い上げいただけません。ただ単に商品を並べるだけでは売れないことを、特に感じます。
<まさに売っていないから売れないという見本である>
・ヤングのフロア、キャリアのフロア、ミッシーミセスのフロアという様な表現のフロア表示が果たして良いのでしょうか?お客様はエイジではなくマインドやテイストで商品をお選びになるのに、私達売り手が勝手にお客様を逆選別してしまっているのではないでしょうか?欲しい商品がそこに行けばあるのに、商品を敢えて見えなくするようなフロアの割り振りになっている気がします。
<お客様はマインドやテイストで選別されることを忘れていた>
いろいろと意見はあったがまずは一部を紹介した。
2015/10/01 05:58
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現場の事故やミスをなくすためには、ルールづくりが絶対に必要なことは言うまでもない。以前ある大きな工場を見学させていただいた時、必ずヘルメットを被り安全靴を履き、指差し呼称が徹底されていたし、見学していて気持ちが良かったことがあった。ある大手食品メーカーでは「なぜなぜノート」を全従業員が常に携帯しているそうだ。作業現場で「なぜ?」と感じた疑問を書きとめ、休憩時間や仕事の後などに自分から先輩や上司に尋ねて分かったことを記入するノートらしい。そして疑問点を一つ一つ解消していく。ある時「何故製造工程ごとに静電気が帯電するのを防ぐ装置があるのか?」と思った人がいた。引火や爆発の恐れのある危険物を扱うメーカーならいざ知らず、食品の製造工程で「なぜだろう?」と感じたのである。帽子をかぶっていてもどうしても毛髪は落ちてしまうことがある。「毛髪の混入を防ぐ対策の一つであり、乾燥した室内では床の上に落ちた毛髪が静電気の作用によって60~70cmの高さまで吸い上げられて、製品に混入してしまう可能性があるから」だと分かったそうだ。仕事に対しての問題意識が段々と高まっていくことは素晴らしいことだ。
またある会社を訪問させていただいた時、従業員の方全員に笑顔で「いらっしゃいませ」と明るく挨拶をしていただいたことがあった。マニュアル型ではなく本当に気持ちが良かったのである。どうやら「どう言うか」よりも「なぜ言うか」ということを全員が理解し徹底されているようだった。前職でも「笑顔でお客様をお迎えしよう」というコピーよりも、「あなただってお客様」というコピーに変えたことがあった。何故なら抽象的なかけ声は心に響かないし心がこもらない、このコピーだと自分がお客様だった時、あのお店のあの人の笑顔が良かったと考えるし、自分の行動に結びつくと信じてのことだった。
人を育てる時も全く同じではないだろうか、HOW型の教え方は考える力がつかない、マニュアル人間になってしまう。今はWHY型の育成方法が求められている。但し「何故?」は責められているように感じる時がある、言い方に注意しよう。「なぜと考える力」を付けることが大事なのだ。考える力が付くと自然に行動に結びつき良い結果が生まれる。「ノウハウ」から「ノウファイ」の時代かもしれない。
2015/10/05 16:22
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先日の日経新聞に国立青少年振興機構の調査で「自分はダメな人間だ」と思ったことがある日本の高校生は7割を超え、アメリカ、中国、韓国の割合と比べて突出していることが分かったと掲載されていた。機構によれば「地域社会のつながりが希薄になり、褒められる機会が減ったことが影響している」と分析していた。面白い調査なのでもう少し引用すると、調査は2014年9~11月、4か国の高校1~3年生7761人を対象に実施したらしい。「自分はダメな人間だと思うことがあるか?」との質問に「とてもそう思う」「まあそう思う」と回答した生徒の割合は、日本は72,5%だった。中国は56,4%、アメリカは45,1%、韓国は35,2%、日本が大きく上回っており、自己評価の低さが明らかになったのである。また「人並みの能力がある」と答えた割合は、中国とアメリカは共に約9割に上り、韓国も67,8%となったが、日本は55,7%に留まったそうだ。「自分の希望はいつかかなう」「体力には自信がある」「勉強が得意な方だ」との3項目で「そう思う」と回答した割合も、日本は4か国中で最も低かった。
非常に残念な結果にびっくりしたのである。安倍首相の言う「一億総活躍社会」の実現には程遠い状態ではないか。
今の日本は「やらされ感」が蔓延し「達成感」が欠落しているのではないだろうか。「やったー!」という経験があまりにも少ないと思われる。モチベーションが低いのは「自分が主語」にならず、他責の発想をしがちだからかも知れない。他責は楽であるが、何も生まれない。
失敗してもその失敗から学べることはたくさんある。私自身の経験から成功体験からは学ぶことは少ないが、失敗から学んだことは非常に多くあった。
「自分はダメな人間である」と思うと、物事が全て上手くいかないことが多い、変な自信を持ってはいけないが、もっとポジティブに考えていかないとじり貧になってしまう。日本は海外に留学する学生が少なくなったと聞くが、海外留学する日本人学生数は2004年をピークに近年急激 に減少しているらしい。逆に中国や韓国は多くなっているそうだ、このような現象も内向き人間を増加させているのかもしれない。学校教育でももっとグローバルな意識を持たせ、ポジティブな考え方を醸成させるように仕向けるべきではないかだろうか。
改めて上杉鷹山の言葉で「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」を思い出した。また武田信玄も「為せば成る 為さねば成らぬ成る業を成らぬと捨つる人の儚き」と言っている。
2015/10/15 07:50
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