人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2016年1月 8日

一体感を感じた研修(ビジネスサプリメント626号)

最近ある組織の研修をした時のことである。対象者は50歳前後の男女約50名、メンバーは初めて集まったのでお互いに知らないし、彼らはラインではなく、事務の専門職や技師の方達等であり部下はいない。課題は「リーダーシップのあり方」や「組織内での役割」を考える研修であった。私の担当は講義とグループワークであり、担当時間は2時間、時間が少ないので進め方を随分考えた。1時間の講義では私自身の過去経験したITベンチャー企業での体験談を中心に話すこととした。もちろん部下はいなかったし、SEの方など全く私には分からない仕事をしている人達ばかり、しかも息子・娘ぐらいの年齢の方達が殆どであった。いわゆるリーダーシップの発揮は難しいし、役割も自分で決めて接していかなければならない。まずは自分自身の「後ろ姿」をみせることと声掛けをふんだんにすることに徹した。例えば私のデスクの横に社長が来られたら、前職で徹底的に癖づけられていたので、必ず筆記具を持ち立ち上がり真剣に聞く姿勢をした。その姿をご覧になられた社長はメンバーに組織内のマナーはこのようにあるべきと全員に諭されたことがあった。また「出羽の守=前の職場ではという人」にはならずに、尋ねられてから丁寧に説明するようにしたこと等具体的事例でお話ししたのである。
その後の1時間は講義を聞いて、組織内で求められる役割や、職場でのリーダーシップの在り方を10班に分かれて討議するのである。討議時間は45分、グループ発表15分と限られている。グループワークが始まる前に、例えば職場に新しい課長が入って来られたら、書類を見やすくしてサポートしてあげるとか、メンバーの相談役に徹するとか具体的な事例をお話しして、要は職場の「パイプ役」「つなぎ役」としての役割があるだろう、それぞれに率直にお話し合いをして欲しいと申し上げて進めていただいたのである。
最初は自己紹介から始まったが、ポストイットなどを使い段々と議論が弾んできた。もちろん私は各班を巡回してワンポイントアドバイスも欠かさなかった。
そしていよいよ発表の時間が来た、時間的に数班しか発表が出来ないが、巡回していて議論が弾んだ班に目を付け発表していただいた。
最初の班は女性の方が発表、驚いたのは私が指示していないのにメンバー全員が発表者と一緒に前に出てこられ、発表者と一体となってうなずき、相槌をうたれるではないか。普通は発表者を免れて良かったと感じ、他人事のように自席で聞かれる場面が多いものだ。そうすると後の班も同じようにメンバー全員が前に出てこられ一体感を持って発表されたのである。
私の最後のまとめで、今の発表のように一体感を持って物事を進める様に仕向けるのが皆さんの「リーダーシップ」ではないだろうかと締めくくった。

2016/01/08 08:31

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