前職でも会議は多かった。どうしても出来ていないところを責められるので、事前に弁解の為の会議を開いている部門もあつたようだが、全くナンセンスなことが行われていたのも事実であった。
以前ご支援していた企業で定例会議があった時に私は次のように申し上げたことを思い出した。もちろん会議資料は前日までに提出されていたのである。
「会議を開くことは貴重な時間を如何に効率的に使うかが問われる、例えば参加者は同じ飛行機に搭乗するのと同じと考えよう、当然定刻までに集まるべき、飛行機であれば出発時刻に間に合わなかったら、待ってはくれず飛び立ってしまう、常識的には5分前には全員そろうのが当たり前、議長は機長であり、参加者は副操縦士であることを忘れないように、乗客はいない、自分の発表は出来るだけ短時間で端的にまとめること、長々と説明はダメで論点がボケてしまう、自分の発表が終わればやれやれで、他の人の発表は他人事では済まされない、事前に資料が出ているので少なくても数回は指摘発言すべきである、自分の発表のみで1回も発言しない方は会議に参加しなくてもよい、機長が横道にそれた時は参加者(副操縦士)が修正発言すべきである、また何処行きの飛行機なのかをはっきりさせないと、無人島に到着してしまう、また終わりの時間には終了すること、機長は定例会議であれば<テーマに関わる各部門の進捗状況を端的に報告させ、課題を明らかにさせること、そして全体調製を怠りなくする、極力短時間で行うこと、問題発見をして、問題が出てきた部門についてはその場で参加者(副操縦士)の意見を引き出す、その場で解決出来ない場合は後刻速やかに話し合うこと、必ず事前資料には目を通させる癖を付けること>などを申し上げたことがあった。会議時間は基本的には長くても1時間半までであろう、それ以上の時間は会議とは言わない。ある企業では座らずに立って実施するところもある。要は会議開始時刻と終了時刻を守り、全員参加が当たり前、遅れてきたメンバーは参加させない、メンバーは緊張感を持って参加する事、もし操縦が上手くいかなかったら、墜落し全員が自滅することを覚悟すること、救命ボートはないのである。
このようなコメントをしたが、その後暫くして会議はスムーズに進められるようになったのである。余計な事だが過去の経験上、会議の多い企業の業績はあまり芳しくないことが多かった。
2016/02/01 07:19
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先日の日経新聞の「大機小機」に面白い記事が掲載されていたのでご紹介する。
「中小企業の1つや2つ倒産しても」と、失言したと伝わっているのは、高度成長の立役者池田勇人元首相のことである。吉田茂内閣の通産相の時だったようで、不信任案を可決され辞任されたそうだ。しかし国会議事録は少し違う。インフレ経済から安定経済への過渡期に、経済原則に反した商売をした人が倒産し、倒産から思い余って自殺することがあっても、気の毒だがやむを得ぬ、という趣旨の答弁だった。与党内の反吉田派が欠席して不信任が通った。経済のパラダイムが変わる時、潮流を見誤りかじ取りを間違えた企業は市場から退出を迫られる。企業規模を問わぬ市場経済の理(ことわり)だ。池田氏の言葉はきついが正論だろう」とあった。誠にタイムリーな記事だった。
今経営危機にあえぐS社が官民ファンドの支援を受けて経営再建するのか、グローバル大企業が買収するのかと、連日経済記事に掲載されている。
自力で立ち直れない企業は、国が救うということが許されるのか、伝統的な大企業だから国がリスクをとるのか、難しい問題なので私には軽軽に意見を述べることは出来ないが、「デジャブ=既視感」という言葉が蘇ってきた。
そう以前勤務していた企業が、債権放棄をして預金保険機構がOKの決定をしたことがあった。しかし一私企業を国が救うのかという議論が巻き起こり、
報道キャスターまで、全国ネット放送でかなり厳しいコメントをされたのを記憶している。結局は救済されずに「大型破綻」したのである。
簡単に「破綻」という言葉が使われるが、働く人達やステークホルダーには随分痛手を与え、言葉では言い表せない誠に厳しい試練が待ち受けていた。
大学生が対象の就職人気企業ランキングを見ると、古顔の大企業が幅をきかせている。「大企業なら安心」と思い込んでいたら誠に怖い。
経済潮流を見誤りかじ取りを間違えたらだめなのである。経営トップは飛行機の機長であり、操縦を間違えたら墜落する。機長が乗客を絶対に守るという強い使命感と責任感がなければ辞めるべきである。リーマン危機に際して電機大手は軒並み屋台骨を揺さぶられたが、H社やP社はいち早く立ち直ったではないか。またデジャブを感じたくない今日この頃である。
2016/02/10 18:59
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以前にお手伝いしていた企業に優秀な若手管理者がおられた。彼は何でも率先垂範タイプであり、いざと言う時は「自分が責任取るから、思い切りやってみよう」と言う管理スタイルの方であった。ある時私に次のような質問をされたのである。
「部下になる年上の監督職のマネジメントが難しい、彼は職人気質でありマネジメントよりも仕事の方に気が入ってしまっている、自分の仕事を少しでも部下に託しマネジメント力を付けてもらいたいが、どのようにしたら良いのか教えて欲しい」と言う内容だった。マネジメントで性別・既婚・未婚・年齢を深く考えると難しくなるものだ。私はその監督職の方も良く存じ上げているので下記のように申し上げた。
①確かに職人気質で「マネジメント」は嫌いと言うタイプだが会社から任命された役割には「マネジメント」が含まれているのでしっかりと役割遂行をして欲しいことは押さえるべきである。
②このような方は「理論や理屈」でお話してもなかなか聴こうとされないことが多い、必ず「具体的事例」を引用して相手の興味あるポイントに絞りながらアドバイスすべきである、そこから上手くいったことなど引用すれば話は弾むのではないだろうか。
③場当たり的に指摘しても殆ど聞かれるスタンスにはなられないと思う、彼の
性格特性を良く見極めて、上から目線ではなく「同じ目線で」計画的に継続的に具体的に指摘すべきである。
④求められることが理解出来ればそれに応えようとされるものだ。
⑤人間的に優しい面を持っておられるので、決して決め付けずに熱意をこめてお話したら理解されるのではないか。
⑥話したことでもし「上手くいった成功事例」が出れば、そのことをどんどん広げていこう、きっと自信を持たれる違いない。
⑦人間は関心を持ってもらいたいと常に思っているものなので、常に声かけを忘れないようにしよう。
まぁこのようなことを申し上げたように思う。こちらが苦手意識を持つと、相手は鏡の様に同じことを感じるものだ。最初はなかなか上手く行かなかったようだが、しばらくしてから若手管理者からその監督職の方が良く理解され部下の方を上手くマネジメントされるようになったという報告をいただいた。
2016/02/21 07:24
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