人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2016年3月15日

マインドセット<思い込み>(ビジネスサプリメント632号)

我々は思い込みをしてしまうことがよくある。ある解説書には思い込み(おもいこみ)とは、深く信じこむこと。また、固く心に決めること、思い込みをする人は、ある考え方に執着し、合理的な推定の域を超えて、固く真実だと信じ、自分が正しいことを言うために、常識・道徳・前例・先入観・固定観念などを根拠にすることがある。しかし、こうした根拠が他者と全く共有できないものである場合も珍しくなく、合理的な説得をしても信じてもらえないとあった。身近なものでは人事考課のハロー効果はまさにその典型だろう。ハロー効果とは「優れた特性、劣っている特性が他の特性を隠してしまい、この全体印象によって無意識に評価され、その人のある特性の評価を思い込みでゆがめてしまうことをいう」。
人の思い込みがいかに根強いものか「パラダイムの魔力」という本に、次のようなダイバーの事例が紹介されていた。「ダイバーが潜水中、水深50mほどの深さの海底にビールのバドワイザーの缶が落ちているのを見つけた、バドワイザーの缶といえば、赤地と白地のコントラストが強烈に印象づけられている、ダイバーはその赤色が目立ったのですぐ目に入ったらしい、実は50mくらいの水深だと、光の屈折の関係で赤い色は濃いグレーに見えるのだ、ところがダイバーの頭の中で<バドワイザーの缶>と<赤地と白地>が結びつき、刷り込みが起きているため、見えないはずの赤が見えてしまった、より正確にいえば、本当は濃いグレーに見えるものが、グレーに見えず、赤に見えてしまった」とある。それほど人の思い込みは強いものなのだ。そのため過去の思い込みで周りを見ていると、本当の現実が見えず、自分が見たいように現実を変えてしまうことがあるという内容だ。
我々の日常の仕事でこのような「思い込み」はないだろうか、その結果絶好のチャンスを逃すことがあるかも知れない。
売り手の思い込みで商品を作ってはいないだろうか?買い手の目線に立っているだろうか?自分目線だけで判断し、上司目線で考えた事があるだろうか?また部下目線で考えた事があるだろうか?
過去の経験に縛られて、変化を見逃していないだろうか?
私自身講演をする時に同じことをお話しても、オーディエンスが変われば、言い方を変えないと伝わらない事が多々あった。また過去と現在は変化しているのに、同じトーンで言ってしまっては何も相手の心に響くものはない。変化が見えず思い込んで突き進むことほど恐ろしいものはないと感じる。

2016/03/15 08:22

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