人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2016年4月15日

鯰になれ(ビジネスサプリメント634号)

最近の講演後中小企業経営者の方々とお話しをする機会があり、あるトップの方が中途採用してもすぐに辞めてしまうケースが多くなったと仰る。採用に掛かる経費、育成期間の経費は馬鹿にならないものだ。
私も1度転職しており中途入社の経験があるが、各企業には独自の文化や風習があり理解するまでの違和感は少なからず残るものなのだ。
「何で?」「それっておかしいよ!」「トップの言うことがよく変わるね!」など転職した人の多くはこのように感じることが多い。
私はあるとき転職先で「前の会社では○○していましたよ、どうしてそのようなことをするのですか?」と問いただしたことがあった。その時トップ曰く「そのような考え方だから破綻したのではないですか?」と言い返されたことがあり、恥ずかしくて言い返せなかったのを思いだす。いわゆる「出羽の守」だったのだ、要は「前の会社<では>」とすぐ言葉に出してしまう癖が付いていたのであろう。自分の「経験値」は相手から問われて披歴するものである、そうすると「さすが、やはりご苦労されたからでしょうね、良いご意見をいただきありがとうございます」と返ってくるものだ。
考え方を変えて見ると、異文化のところを経験できるのは、自分の幅が広がることにつながり良い経験が出来たと考えないと自分自身が損をすることになる。
もちろんコンプライアンスに違反していることがあれば論外ではあるが。
中途入社者はそれなりに期待して入社してくるものだが、案外中に入ってみると、バカみたいに見える事が当たり前に横行していることが多い。しかし本当に理解出来るのは少なくても3年間ぐらい経過しないと見えてこないものだ。まさに「石の上にも3年」である。
1つの会社で長く勤務していると、世間から見ればおかしいことも、当たり前に感じてくるものだ。いわゆる「会社の常識は社会の非常識」なのだ。その中にあっても「イワシの生簀に鯰1匹」的な存在感を出さなければいけない。すなわち「イワシは生命力が弱く、陸揚げすると殆ど生きてはいない、しかし全く違う鯰というものが入ってくると、少なからず緊張して刺激をうけ、生き残るイワシが多い」という例え話につながってくる。
まずは焦らず、慌てずに企業の風土を理解し、「出羽の守」にならずに、タイムリーに過去の「経験値」を出すと上手くいくものだ。「鯰」になっても上から目線ではダメであることは言うまでもない。

2016/04/15 06:02

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