最近「聞く力」とか「伝える力」、また「聞く技術」などの言葉が氾濫し、本屋に行けばかなりの数の本が出版されている。
私も個人別ヒアリングを12年間続け、延べ6000人を超える方々と1対1で約1時間超向き合ってきた。その際は聞くことが「スキル」と感じた事はめったにない。相手の方とは何時も正面に向き合わずに90度の角度で座っていただく、そうするとお互いに時々目を見るし話し易いのだ。これをスティンザー効果と呼ぶらしい。聞くことの基本は「相手との信頼関係を醸成すること」が一番大事だと感じる。相手にホンネを語ってもらうには、まずこちらがホンネをぶつけることが大切、そして内容を絶対に外に漏らさないこと、このことをブレズに今まで実践してきたつもりだ。
聞くことは「単に相手が何か聞いて欲しいので聞き役になる」「聞いている中で、自分が何かを伝えたい」の2つのパターンがあるが、いずれも「聞くことに徹する」ことがポイント、これがなかなか難しいからやたら聞くためのスキル本が売れるのかも知れない。
自分自身の経験上でも聞く時は意外と聞いているつもりでも聞いていないことが多い、相手が言っているのに、途中で聞くことを中断してしまうことがある。何故なら次に自分の言うことを無意識に考え始め、相手の声が聞けない状態に陥りやすいからだ。私は何時も無意識にやっているが「アクティブリスニング=積極的傾聴」が大切、これは相手が言ったことを必ず「復唱」してから、自分の意見を言うようにすることだ。いちいち相手の言ったことを「○○さんは△△と言われましたよね」と確認していては会話が弾まないが、積極的傾聴を身に付けることが「聞く力」の唯一スキルかも知れない。
でも一番大切なことは「信頼関係を築く」こと、そのためには「相手の話をさえぎらない」「聞き手が聞きたい話題に絞り切らない」「話し相手が求めていないことを押し付けない」ことが肝心。
相手が意見を求めてきても「すでに相手の中に答えを持っていること」も多い。
そのような時は「あなたはどのように思いますか?」と返すこと、また「あいづち」や「うなづき」も大きな効果があるのは言うまでもない。
随分昔に1人だけ相手の方が私のヒアリングに対して拒否反応をされた時があった。こちらが真剣にホンネを言っても乗ってこない、的確な返事がない、ついつい私は無意識にイライラしてしまったことがあり、大失敗したのを記憶している。ことほど左様に「聞く」と言うことは難しいものであるし、テクニックだけでは通用しないものである。
2016/04/20 19:21