人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2016年5月25日

経験は色あせない(ビジネスサプリメント638号)

前職の社長近藤昇氏から「もし波平が77歳だったら」というタイトルで本年1月に上梓された単行本をいただいた。漫画サザエさんのお父さんの波平の年齢設定は54歳、それは定年退職年齢が55歳の時の話、ちなみにサザエさんは24歳だそうだ。しかし現在定年は65歳、場合によっては70歳の時代に突入し、高齢者の雇用がこれからの大きな課題であると言われている。今は年齢の7掛けの時代、つまり今の厄年は還暦の60歳ではないかと述べておられる。よって波平の54歳は、今は77歳の7掛けとなるという論理である。高齢者はまだまだ働けるというのではないだろうかとの問いかけをされている。
そうすると先日、日経夕刊の「あすへの話題」で前厚労事務次官村木厚子氏のコラムが掲載されていた。少しご紹介すると、若い担当職員の方が「一番は生涯現役が大切ですよね」とつぶやかれたとか。問題は高齢になるほど個人差が大きくなる気力や体力に合わせた多様な出番を用意できるかどうかだと述べておられた。今まで勤めた会社で引き続き働く、一定の年齢で体力に合わせ転職する、シルバー人材センターのように臨時的、短期的な仕事をするといった多様な選択肢が欲しいとも。シルバー人材センターといえば、庭の手入れや公園の草刈りなどが思い浮かぶが、最近は介護、子育て支援から空き家管理やスーパーの品出しまで幅広い仕事があり、72万人の方々が活躍されているそうだ。驚いたのは秋田県藤里町では「町民すべてが生涯現役を実践するシステムづくり」として「プラチナバンク」への登録を呼びかけているとか、求める収入、仕事時間、ヤル気、経験に応じて、バリバリ働く形から「支援付き」で働く形まで「自分のスタイル」で仕事が出来る、デイサービスに通っている人も登録できるらしいとある。
私も去年公開された映画「マイ・インターン」を鑑賞した、アン・ハサウェイの経営する会社にシニア・インターンで入ってきたロバート・デ・ニーロがシニアならではの知恵と経験値で、決して上から目線ではなく彼女を助けるという素晴らしい内容だった。ポスターにはExperience never gets old (経験は色あせない)とある。老後はまずは健康・経済・やり甲斐の3本柱であることは言うまでもない。私ももう少しで70歳の古稀だが7掛けだと49歳ではないか(笑)。間違っても「サザエさん症候群=日曜日の夕刻に放映される漫画サザエさんの歌を聞くと、明日はブルーな月曜日を思い出し鬱になる」というような状況にならないで欲しいと思う今日この頃である。

2016/05/25 08:18

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