人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2016年7月15日

陰でこそこそ(ビジネスサプリメント642号)

以前ご支援していた企業で部下の方が上司とそりが合わずかなりの不満が溜まっておられたケースがあった。上司の方は最近昇格した方で、お話ししてみると部下のことをあまり嫌ってはいないようなのだ。しかし部下の方が凄く反抗的な態度や振る舞いをされるので、あえて指摘せず、無関心を装われたのだ。
部下の方にヒアリングしていろいろと聞いてみると「上司に計画性がなく、思い付きが多い、聞こえていないのか返事をしない、見ているとイライラする」と言うではないか。部下の方と何回かヒアリングをしていると、彼には組織人としての振る舞いが全くなく、全て自分が正しい、おかしいと思ったらそれを思い続けている様子。このような方に気づかせるのは相当難しい。
ましてやこの上司に不満を持っていそうな数人の輩達と「陰でこそこそ」と上司の悪口を言っているようだった。
私は彼に「素直に上司と話し合った事があるのか?」と聞くと、全くないと言うではないか。そこで今更言いにくいかも知れないが「タイミングを見つけて十分の素直な気持ちを話し合ったらどうか、そんな気持ちで毎日を過ごすことは、凄いストレスも溜まるし、生産性も上がらないよ」と諭したのである。
言いたいことがあるなら、陰でこそこそ言っても何にもならない、返って自分の値打ちを落とし、人間としての品格も下げるではないかとも付け加えた。
また上司には「彼のことをどのように思っているのか?どうあって欲しいのか?を素直に話し合うべきではないか」と伝えたのである。上司は毎日が忙しいし、煩わしいことは避けたいという気持ちが先行していたのである。そこで「このままでは、課内の雰囲気も悪くなるし、周りにも悪影響を与える、もっと部下に関心を持って振る舞って欲しい、人間は無視やシカトされると一番辛いものなのだよ」と諭したのである。
暫くはお互いに何もしなかったようだったが、数か月後両名のヒアリングの機会があったので、話し合ったのかを検証してみた。そうすると上司の方から声をかけてとことん話し合ったとのこと、部下に大きな誤解もあったそうだ。
また部下の方にも聞いたら、ゆっくりと話し合う機会があり、自分が間違って思っていたことにも気づき、何だかすっきりした、陰でこそこそ言うことほど最低な行為であり、自分が恥ずかしくなったと言うではないか。上司も嫌なことを避けずに、お互いに気軽に声を掛け合い、時には議論し合う職場が必要なのだということに気付いたと言われた。
上司は嫌なことから逃げないこと、部下は陰でこそこそ言うことは愚かなことで、思い込んではいけないということを学習したようだ。

2016/07/15 06:08

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