人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2016年8月15日

年上の部下(ビジネスサプリメント644号)

先日の日経新聞夕刊に「常識ナビ」と題して「年上部下と良い関係築く」という記事が掲載されていた。私も前々職時代は数十名の「年上の部下」の方々が、前職では「かなり年下上司」になるトップに仕えた経験がある。
成果主義の一般化や転職の増加による人材流動化を映し、「年上部下」「年下上司」のいる会社が増えているようだ。年功序列文化が依然として色濃い日本では、当事者間に戸惑いも生まれているが、今や外資系やベンチャーだけでなく、大企業の間でも広がっている現実がある。そのためかミドルで転職の利用者の調査によると、66%が年下上司の下で働いた経験があると回答、経験がある人のうち、58%が年下上司の下では「仕事がしづらい」と答えている。理由で多かったのは「人の使い方が下手」、「人の意見を受け入れない」、「威張りエラそうにしている」などがある。いずれもつまらない理由ばかりであるが・・・
私はどちらも経験しているが、年上部下は長年業績に貢献し、いろいろな経験をしてクリアしてきたという自負心があるのだ。年下上司から上から目線でものを言われると「まだまだ若いくせに」という気持ちも働く。私もそのような気持ちを持っていたことがあった。また一方年下上司は自分が人一倍努力し、実力で昇進したという自負心があり、頑張ってきたからこそ今の地位になったのだという気持ちがあるのではないだろうか。そうどちらも「自負心」が邪魔をしているのだ。
私の経験上一番いけないのは年上の存在をうっとうしいと感じ、今はやりのリストラ部屋のような「仕事は全てこちらでやるから、あなたは迷惑をかけさえしなければ良い」と言った雰囲気を作り出すことであろう。また年上部下の中には、自分は会社に認められていないと思っている人が多いので、その存在を認めてあげることも大事である。
私は年上部下の方々には、必ず「〇〇さん」と呼ぶようにしたし、出来る限り丁寧な言葉遣いを心がけたものだ。また年下トップに仕えた時は、与えられた役割を忠実に成し遂げて、おかしいと思うことがあれば素直に問題提起をさせていただいた。「マイ・インターン」のロバート・デニーロのような立ち位置が求められる。そう!上から目線ではなく過去の生きた経験値を活かすことだ。
一番重要な事は「お互いに相手をリスペクトする気持ちを忘れないこと」ではないだろうか。

2016/08/15 08:08

お問い合わせ