人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2016年9月15日

不安と不満(ビジネスサプリメント646号)

先日の日経新聞に「マネー研究所セレクション」と題し大江秀樹氏のコラムが掲載されていた。内容は「シニアは起業家の<卵>」と題する面白い記事だったので少しご紹介したい。実は私も60歳から起業して10年が経過したのでかなり興味深く読ませていただいた。
「最近は会社を定年退職した後に起業するという人が増えてきています。中小企業白書によれば、起業家で最も多いのが60歳以上で、その割合は約32%となっています⇒これには驚きである。起業はとてもハードルが高いと思われがちです。確かに起業支援の会社が<起業なんて誰でもできますよ>というほど甘いものではありません⇒全くそのように感じる。それでも起業は定年後の働き方の有力な選択肢だと思います。<中略>一般的にサラリーマンは仕事に対しての<不満>は一杯ありますが、食べていけるかどうかという<不安>はあまりありません。昔に比べれば、リストラや解雇というケースは増えているかもしれませんが、それでも普通に仕事をしていきなりクビになることはないでしょう。サラリーマンは嫌な仕事でも断れませんから、不満は生じます。一方、自営業の場合、不安はありますが不満はありません。サラリーマンとは逆で、嫌な仕事なら断ることができます。したがって突然仕事がなくなる不安はあるものの、自分がやりたくない仕事はやらずに済むので不満はないというわけです」。
私の場合は53歳で大型倒産を経験し、多くの仲間達に退職を迫り、当然私も辞めなければならなかった。いわゆる定年は経験していないのである。本来ならばその時点で起業すべきであるが、典型的な「ぶら下がり症候群」であり、自立出来ておらず、次のぶら下がるロープを探したのである。しかし次のロープはぶら下がりロープではなく、バンジージャンプのロープであり、飛び降りなければならなかった。その体験が凄く新鮮であり、定年なんてなかったけれど、起業を決意したのである。丁度60歳の時であった、飛び降りた経験があるから「不安は一杯だが何とかなる」という気持ちが醸成されていたのであろう。
そう、それ以降「不安は何時でもあるが、不満は全くない」。一番大切なことは、やはり健康・経済・生きがいの3つではないだろうか。今だから言えるのは、安易に起業すると大きな落とし穴もあるのではないだろうか、幸い今のところ私に落とし穴はなく、毎日元気に仕事をしている。

2016/09/15 07:05

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