人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2016年10月16日

転がる石(ビジネスサプリメント649号)

最近転職を繰り返す人が多くなったような気がする。私は過去1回の転職の経験をし、違う文化、違う人たち、違うステージで戸惑うこともあったが学ぶことの方が多かったように思う。しかし何度かもう辞めようと思ったこともしばしばであった。トップの考え方や、自分に合わない仕事の進め方、仕事に対する取り組み方の違うことに大変迷ったことも多かったが、それを乗り越えると上手くはまり込んで新しい次のステップを見つけ出したものだ。
最近転職される方々を見ていると、もう我慢できない、この場面から逃げようとされているケースが多いのではないだろうか。逃げては追いかけてくるばかりで全て悪い方向に向かってしまう。逆に追いかければ、本質が見えてくるし、学ぶべき点も理解出来るように感じるのではないか。
しかし転職は3回までと言われることが多いが、事実どうしても合わない会社というものはあるものだ。そんな場合は早く見切りを付けて違うステップに移ることも肝要である。少なくとも同じ人間が、A社ではうまくいかず、B社では能力を開花させるという事例をよく見かける。よって見切りの付け方も大切となってくる。
入社して数か月ではお互いに判断がつかないだろうし、せめて「意志(石)の上にも3年」は頑張って、それでもだめなら悲嘆にくれず、次のステージを探すのもひとつの考え方でもある。
「転石苔(こけ)を生ぜず」ということわざがある。このことわざには2つの意味があるようだ。「転職や転居ばかり重ねていると、財産も地位も身につかない」という意味である。またもう一つは「常に活動している者はいつまでも古くならないし苔など生えない」という解釈である。前者は定職・定住を促すものであり、後者は絶え間なく研鑚することをすすめている。
時代の移り変わりが激しく、リスクの多い今日だ。「リスク」とはイタリア語の語源で「勇気を持って試みる」とある。今時代が我々に求めていることは「変えるべきものを変える勇気と、守るべきものを守る信念」を大切にしなければならないということかも知れない。

2016/10/16 14:38

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