人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2016年11月 1日

また言っている(ビジネスサプリメント650号)

以前に個人ヒアリングをしたあるチームのお話である。メンバーと個別にゆっくりとお話を聞かせていただいたが、どうも様子がおかしい。リーダーは聞く耳を持たず、一方的に理詰めで攻め立てる、反論できる余地もないし言っても何倍にもなってかえってくると言うではないか。もちろん私を警戒してなかなかホンネを言わない方もあったが、最終的にはほぼ全員が「ヤル気」が出ないと言われたのである。そして極め付きは「リーダーは我々にはいろいろと指示をするが、リーダー自身は何もしない、今更辞める訳にいかず面従腹背している」と言う大変な状況だった。
また月曜日が辛く日曜日の夕方になると憂鬱になると言う「サザエさん症候群」になる人が多かったのだ。もちろん各人の性格特性があり、捉え方もいろいろなので各人の目線に合わせて「自分を高めていくことが大切、やらされ感だけでは自分が損をする」とナビゲートしたのは言うまでもない。そこで最終リーダーの方とお話をさせていただいたが、物腰柔らかく論理的にお話される。
あなたの一番信頼されている部下の方は?とお伺いしたが名前が具体的にはあがらない、部下の方々を信頼されていないのである。最後は全員の意識が低いので毎日厳しく指示をしているとのこと。要はメンバーがどのような気持ちで毎日過ごしているのかを良く把握はされていなかった。そこで指示待ち人間を作るのではなく、もう少し自分たちで考え自ら動けるようにされるべきではないだろうかと申し上げたら、そのようなことをすればまたまた甘くなり、生産性が落ちるとも言われ、したがって言い続けていかないとダメと真剣に思われていた。しかしそのようなリーダーシップは短期であれば良いが、長くしていると言われたことだけしかしなくなるし、「また言っている」と思われるだけで、現に全員のモチベーションが著しく落ちていると指摘した。今後は各人の性格特性を良く見て個別に指導すること、メンバーと一緒に汗かく姿を見せることが大切ではないだろうかと真剣に諭した。そして部下の方々とリーダーが胸襟を開いて真剣に個別に話し合ったらどうかとリーダーに提案した。今まで個別に時間を割いて話し合ったことがなかったらしいが、リーダーは早速全員と個別に真剣に話し合われたようである。その後リーダーからは改めて私にいろいろなことが分かりましたと言われ、数名の部下の方からは最近はリーダーと良くお話しが出来る様になったと言う嬉しい連絡をいただいたことがあった。リーダーはその時だけではなく、メンバーを信頼し必ず継続して欲しいものだ。

2016/11/01 08:10 |

2016年11月15日

指揮者とリーダー(ビジネスサプリメント651号)

先日音楽好きの後輩と新しくなった大阪フェスティバルホールへ久しぶりに行った。小林研一郎氏指揮でハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団の名曲プロの決定版プログラムだった。席は生憎3階の後ろだったが音は抜群に良く聞こえるし素晴らしい施設だった。音楽は全く素人の私だったが指揮者小林研一郎氏の指揮には驚きだった。彼のタクトにメンバー全員がまさに一体となって音楽を奏でていた。
指揮者は全精力を各担当に向け、感服の連続だったのである。後半は1時間弱タクトを振られていたが、凄いエネルギーを出されたのであろう。私は終わった時、自然に拍手していたのである。
「指揮者」と「野球監督」は一度やってみたいと言われる気持ちが、少し分かったような気もしたのである。
指揮者はまず楽譜を読み取り曲を良く知ることから始まるのであろう。楽譜を読み込んで楽譜の深いところを、その曲の意味するところ、表現したいところをつかみ取り表現していかなければならない。そして指揮者は演奏者のまとめ役、いろいろな考えや、特性を持った人たちの音楽性をまとめていくのであろう。一番大切なことは演奏者の表現力を高めること、即ち演奏者の持っている良いものを最大限に発揮させることなのだと思う。指揮者は演奏者をのせ、聴衆に感動を与えるナビゲーターなのかもしれない。
振り返って組織のリーダーもこのようにあらねばならないことは言うまでもない。自分の思いだけでタクトを振り回していないか?メンバーの音がバラバラで音になっていないか?タクトを見ずに勝手な振る舞いをしているメンバーはいないか?等々指揮者と組織のリーダーの共通点は多いと、改めて感じたのである。今後の組織のあり方を描き、どのような流れですすめていくのか?
メンバーの性格特性を良く把握して、可能な限りその部分を活かすように仕向けて行くのか。各人の役割を明確にして、何時どのようにして発揮させられるのかを考えなければならないし、またどのように連携させていくかが問われる。ただリーダー任せだけではいけない、それぞれを正しい道へナビゲートしていかないと「指示待ち人間」になってしまう。今回の様に指揮者が素晴らしければ、感動する演奏会になる。
リーダーが素晴らしければ一体感が醸成され、素晴らしい成果に結びつくことを、この演奏会で学ばせてもらった。

2016/11/15 06:46 |

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