人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2016年12月20日

偽り(ビジネスサプリメント654号)

個別にヒアリングをしているといろいろなことが見えてくる。ある若手で元気の良い方の悩みは深刻だった。何時も思ったことで「おかしい?」と感じることは即口に出し言ってしまう性格らしい、そのことが上司からはうっとうしく嫌がられていると告白されたのである。そして今は自分を殺し、気づいても言わず、ただ黙々と仕事に取り組んでいると言うではないか。上司から元気がないねと言われたら「まだまだ実力がなく勉強の毎日です」と答えているらしい。その方に「本当にそれで良いのか?」と聞いてみたら「仕方がない、今の組織で仕事をしていくためには」と言われる。この方には「若さ」が消え失せている。「若さ」とは「おかしいな?」「これで良いのだろうか?」「何故だろう?」という好奇心ではないだろうか?誠にもったいない話であった。
そこであなたの言い方や言うタイミングがおかしいと考えたことはあるのか?もしあなたが上司だったらどのように思うか?を一度考えてみようと申し上げた。自分の良いところを抑えていては自分が損をする、ネガティブに考えずに前を向いたらと諭したことがあった。その後は徐々に明るくなられ、組織の中で自分の立ち位置が段々と理解出来つつあるとのことだった。
またあるチームではトップになられた方が悩んでおられた。自分の部下に自分より年上の方がおられ、その方は自分が入社した時に仕事を教えてもらった恩のある方と言われるではないか。先輩の方も昔のことが頭から離れず、ついつい強引に意見を通されるようだ。先輩の間違った「自負心」ではないだろうあか?自分の今の立場を考えられないのだ。トップの方も黙認され何も言われない状況、メンバーからはトップが非常に頼りなくかなりの不満も出ていたのである。非常に良くないムードが漂っていた。
そこでトップの方に聞いてみたら、先輩には言いにくく「それはおかしい」と思っても黙っているとのこと。これは深刻な問題で、組織のトップはあなたなのだ、感情的にならずに自分の考えを通していかないと組織はなりたたないとアドバイスし、先輩もあなたをバックアップしようとされているかも知れないから、一度ゆっくりと話し合うべきと申し上げた。その後お2人で真剣に話し合われたそうだ、そうしたらお互いに思っていることがかみ合っていなかったらしい。しばらくしてトップの方から先輩が真のサポート役として頑張っていただいていると言うご報告をいただいた。偽りの自分の姿で組織を生きていくことは誠に難しいと思う昨今である。

2016/12/20 06:08

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