人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2016年12月 1日

ものの見方(ビジネスサプリメント652号)

最近はノーベル賞受賞等本当に良いニュースもあるが、暗い話題が多い世の中になってしまった。しかしこの風潮に負けてはならない、今こそ見方の転換が必要ではないかと痛切に感じるこの頃である。そう思っていると、腕時計の話を思い出した。「あなたがはめておられる腕時計の文字盤の12時のところにはどんな文字が入っていますか?」と問われた時、デジタル時計以外、時計を見ずに即座に答えられる人は少ないのではないだろうか。
アラビア数字の12になっているのか、長棒になっているのか、あまり見ないような記号になっているかと迷う時が多い。毎日何回も見ているのになぜかと言うと、時刻を知りたいので時刻だけを見て、文字盤にはあまり目が向いていないのである。要は文字盤には関心がないのである。
では買い求める時は時刻を見るだろうか?この時計は今正確に時を刻んでいるのか、なんて絶対に思わないであろう。アナログ的なアラビア数字が良いだろうか、角ばっているものが良いだろうか、丸い形が良いかと考えるものである。
その時によって見方や関心の持ち方は違う、時刻だけ見てしまってその周りにあるものが見えていないことがないだろうか。我々は見ようと思えば見えるのに、見ていない部分はないだろうか。それを見ていくことがもの凄く大切なことなのだ。ちなみに海外ブランドの凄く高い腕時計が好きな方が多いが、私は電波時計で正確に時刻を表示する安い国産時計が大好きである。
例えばあるお店の売上を見ても、今は大変厳しい状態ではあるが、数字の前年比だけを捉えてはいないだろうか。数字だけを見ているということは、時計で言えば時刻だけを見ているのと同じである。買われているお客様の買い方がどのように変わったのか、どのようなお客様がご来店になっているのか、そのお客様がどのような商品に興味を持たれているのか、そのような変化を見ていかないと本質はなかなか見えてこないものである。時刻や数字だけで一気一憂していても仕方がない。まさに迷路の中でさ迷っている状態が続くのである。気づくことが出来れば「迷路を真上から見る」ことが出来るし、意識もポジティブにすることが出来るのではないだろうか。見方や考え方を変えれば見えていないものも見えてくるものだ。そのことに気づかなければいつまでも「ゆでガエル」になってしまう怖さを忘れてはいけない。

2016/12/01 06:21

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