人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2017年1月16日

「当たり前」もうない(ビジネスサプリメント658号)

先日知人から聞いた話である、彼もいろいろと講演活動をされているのだがある組織でのこと、何と開始30分前に参加者全員の机の上にレジュメと鉛筆2本、A4用紙が3枚置かれていたらしい。彼は皆さんノートや鉛筆かシャープペンを持って来られないのか担当者に聞いたそうだ。そうすると昔からこのようにしているとの答えに唖然としたとのこと。
何かおかしい!私が2度目に勤務したベンチャー企業では自席には新品のPC1台のみ、それも社内販売で給与から天引きされる、引き出しには何も入っておらず、必要なものは自分で揃えよとのこと。その時は仕方なく文房具屋に行き必要なものを全て買い揃え、ゴミ箱まで買ったのを覚えている。なんて言う会社だ、備品を自分で買い揃えるなんて考えられない、しかも給与天引きとは!学校卒業後1度目の職場では新人社員が入った時は組織図と社内電話表が机のガラス面の下にひかれ、引き出しにはボールペンや鉛筆、消しゴムやホッチキス、集計用紙がきっちりと揃えられていたのである。
今から考えると2度目の職場で起業マインドの入り口を教えてもらったと思っている。今でも講演に鉛筆や用紙を揃えている感覚が理解出来ない。
しかし長年そのようなことに慣れてしまうとそれが当たり前、何もおかしいとは感じなくなってしまうものである。私もベンチャー入社時は「ここはそんなにお金がないのか?」とも思ったことが恥ずかしくなってきたのはいろいろと異次元を体験した1年後だった。即ち「ゆでガエル」になっていたのである、組織の中に甘えが出て、自立マインドが欠落した自分があったのだ、仕事においても主語は「上司や会社」であり、決して「自分」ではなかった。改革や変革がうたわれて久しいがまずは「自立マインド」「自律マインド」の醸成ありきで、手法やスキルでは決してないことは自明の理である。私が独立した時に痛切に感じたが「会社=自分」なのである。変化の激しい今、組織内で自立した自分づくり、自分のことは自分でしなければ始まらないと言うことを肝に銘じないといけない時が来ていることを実感している。
今年の元旦の日経新聞一面に「当たり前」もうないと題した記事が掲載されていた。これからは「当たり前」と考えていた常識が崩れ去り、過去の延長線上にない「断絶(Disruption)」の時代が私たちに迫っているのだ。

2017/01/16 19:07

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