人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2017年2月 1日

再雇用(ビジネスサプリメント659号)

ビジネスパーソンが60歳で定年を迎えた後のスタイルは様々だ。多くの方達は「好きなことをやりたい」と思われるかも知れないが、現実は公的年金の支給年齢が65歳になり、それまでは空白期間が出来てしまう。よって殆どの方は引き続き働く人が多い現実がある。以前だがまだ公的年金が60歳から支給された時代に、定年で辞めて海外旅行をした方がおられた。羨ましいなぁと思っていたが、帰って来られてお話を伺うと、もうすることがない、何か良い仕事は無いだろうかと言われたのを思い出した。人生80年時代が到来しているのに60歳からではまだ20年間がある。起業でもするならば良いが、何もなければ何か空しいものになる可能性があるのだ。
2013年に改正高年齢者雇用安定法が施行され、希望すれば原則65歳までの再雇用が保証されるようになった。しかし再雇用をあまり安易に考えてはならない。再雇用された知人に聞くと「気楽で良いですよ!」と言う言葉が返ってくることが多い。今までと同じ会社で働くのだし、まして同じ職場ならば気楽な気持ちでいると、周りからは違和感をもたれることになるのではないだろか。
要は立場が変わるのでその切り替えが必要なのは言うまでもない。
例えば同じ職場で残っても周りの人達は手のひらを返したように冷たくあしらわれることはないだろう。しかし自分の立場の変化を自覚せず、以前と同じような振る舞いをしていると、周りからは冷たい目で見られることになると思う。
継続して会社にぶら下がっていてはだめであり、人に頼らない自分、主語は
「自分」に切り替えないといけない。そして当然自負心もあるだろうから、自分の役割を認識して責任感を持たなければいけない。
最近は70歳定年が大手で出始めている、残った会社にどのような貢献が出来るかを考え、後輩には絶対に上から目線でものを言ってはいけないと思う。映画「マイ・インターン」のロバート・デニーロの様な振る舞いが求められるのではないだろうか。
先日再雇用されている63歳の知人に、良い仕事の案件があったので、お誘いしたが「もう2年で仕事は辞めます、好きなことをして暮らします」という答えが返ってきた。おそらく再雇用されてからも、立派な後ろ姿を見せておられるのだろうし、これからの人生設計が自分自身で出来ている方だったのだ。
定年後の再雇用は「立場が変わる」ということを認識し、これからは人生80年時代の自分自身の人生設計が求められる時が来ているのではないだろうか。

2017/02/01 06:47 |

2017年2月 7日

オーバー65歳(ビジネスサプリメント660号)

先日の日経新聞に「オーバー65歳―会社にやりがい」と題した記事が掲載されていた。前号で再雇用問題を取り上げたが、世の中は高齢化への促進が著しいと叫ばれている昨今、記事にもあったが年を取ったからといって、社会の重荷のように扱われるのを不本意に思う高齢者も多い事だろう。実際筆者の周りにも元気な高齢者は増加しているのも現実である。「高齢者=65歳」という定義そのものを見直され、日本老年学会と日本老年医学会は今年1月、高齢者の定義を現状の65歳以上から75歳以上に引き上げる提言をまとめたとある。ちなみに65歳から74歳までを「準高齢者」と呼ぶらしい。何だか嫌な呼び方であるが・・・
記事には2016年の65歳以上就業者は767万人に上り、この10年で257万人も増えたとある。もちろん経済的な理由で働かざる得ない高齢者もおられるだろう。年金がもらえるようになっても働く意欲がある男性は独立行政法人労働政策研究・研修機構が15年に実施した調査によると、60歳代で79%、70歳代以上で77%とシニアの就業意欲は旺盛なのだ。この数字は意外だった。
定年後は孫とふれあい、旅行を楽しみ、思い切り好きなことをしたいという思いとはあまりにも違う数字なのだ。生産人口が減っている現在、意欲旺盛なシニアの活用は喫緊の大きな課題である。
65歳で完全退職し、趣味三昧や地域貢献に徹している方も多いが、私の周りには「仕事と趣味の両方があるから人生は楽しい」という方々も確実に増えている。記事にもあったが「昔貢献したんだから楽させてよ」といった気持ちは絶対に持ってはならない。あくまでも「役に立つ」ことありきなのだ。「余生」ではなく「セカンドステージ」なのだ。
前職のブレインワークスの近藤社長は、「もし波平が77歳だったら?」の続編で「私たちは生涯現役!もし77歳以上の波平が77人集まったら?」という本を上梓され、実際に起業等されている77歳以上の生涯現役の方々が今を語られている。近藤社長は「日本」の主役の座はシニアと言い切られているのだ。
先日ご支援企業の30歳前後の若手の方々数名とお話し合いの場があった。その時に驚いたのはみんな「今のままではいけない、もっと成長したい」と言われたのである。「ゆとり世代」の彼らから、こんな言葉が素直に出た事に驚いた。
そう、シニアも「いくつになっても学び、成長し続ける気持ちを忘れてはならない」のかも知れない。

2017/02/07 18:44 |

2017年2月17日

ぐち(ビジネスサプリメント661号)

「真剣だったら知恵が出る、中途半端だったら愚痴が出る、いい加減だったら言い訳ばかり」と言う言葉をご紹介したことがある。良い知恵が出ずに愚痴ばかりが出ることが如何に多いかを痛切に感じる。
また会議などでも「言い訳ばかりでどうすれば良い」が出てこない事が多いのではないだろうか。このような会議が多い会社は生産性も上がらない。
そんな時、林成之氏著「脳に悪い7つの習慣」と言う幻冬舎新書を読んだ。
以前翻訳本で「7つの習慣」と言う分厚い単行本を読んだことがあったが、
新書なので気軽に手にした。氏曰く「脳は気持ちや生活習慣で、その働きがよくも悪くもなる。この事実を知らないばかりに、能力を後退させるのはもったいない。脳に悪い習慣とは①「興味がない」と物事を避けることが多い、②「嫌だ」「疲れた」と愚痴を言う、③言われたことをコツコツやる、④常に効率を考えている、⑤やりたくないのに、我慢して勉強する、⑥スポーツや絵などの趣味がない、⑦めったに人を褒めることがない の7つ。これらをやめるだけで頭の働きが「倍増する」とある。筆者自身も実に多くの項目が当てはまるではないか。
日常的に「疲れた」と言うのが口癖になっているかもしれない。「愚痴を言ったほうがストレスの発散になる」と思うこともあるが、否定的な言葉は自分が言っても、周囲が言うのを聞いても、脳にとっては悪い影響しかないらしい。
疲れを余計に増すことが多いと思う。
また脳が否定的な言葉に反応し、マイナスのレッテルをはってしまうとある。「おもしろくない」「嫌だ」などと愚痴ったり、愚痴ばかり言う人と一緒にいたくはないものだろう。無理かもしれない、きっとダメだろうと考えた時に脳もそのように反応するのだ。また笑顔も大事と述べておられる、最近難しい顔ばかりしていないだろうか。固い表情からは良い発想も生まれないと感じるし、
笑顔は人間の免疫力を高めるものだ。
今のように閉塞した世の中ではなかなか難しいことではあるが物事を「原因説」で考えるから愚痴が出るのかもしれない、「前提条件説」で考えれば、また違った発想やポジティブな考えが浮かばないだろうか。冒頭にある中途半端だから愚痴が出るのであり、いい加減だから言い訳ばかりが先行する。ここで今一度「前提条件説」に戻り「真剣」に考え直せば道は拓けるのではないだろうか。
それこそ「気づき」の原点かも知れない。

2017/02/17 12:46 |

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