人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2017年5月 1日

社員のやる気をどう高めるか(ビジネスサプリメント667号)

先日日経新聞の経済教室という記事があり、京大の若林教授の論説が掲載されていた。非常に興味深い内容なので少しご紹介する。
企業の人事管理にとって、社員の「やる気」を高める取り組みは最重要課題である、ところがある調査による国際比較調査を見ると、日本企業の社員が会社の仕事に対して示すやる気は欧米よりも低く、アジアの中でも劣るというではないか、何とインドが一番高くなっていた。インドは「個人(従業員)は全人格的に会社に関わり、会社の側は組織をあげて個人に関わる」かららしい。
ハーズバーグの衛生要因説にもあるように「金銭的報酬」は社員の幸福感を増すには一定の限界がある。金銭などの衛生要因では不満足が解消しても満足はなかなか満たされないのである。金銭的報酬だけでは一定の限界があるのだ。よって「達成感」などの動機づけ要因が満足を増加させるという説は誠に正しい。
韓国のある会社は人事部を「幸福管理部」と呼んでおり、人事施策で社員の幸福感の上昇につながる取り組みを重視しているそうだ。では金銭的報酬だけではなく何が必要なのか、それは会社の求める目標や職務に社員が積極的に関わり、業績を上げる仕組みのあり方が求められるとある。会社の職務に積極的関わる要因に注目する「ジョブ・エンゲージメント」という理論が注目されてきたそうだ。アメリカのブルース・リッチ氏らの考察によると職務への積極的な関わりを促進し、業績向上に結び付く条件として①会社との価値観の適合の高さ②職務に対する会社の支援の多さ③職務に自分がふさわしいと考える自己評価の高さ、即ち社員と会社や職務とのマッチングの高さが仕事への積極的な関わりと業績の上昇をもたらすのである。また会社側から社員への業績評価のフィードバックのタイミングが出来るだけ早い時期に的確に評価内容を本人に伝えることも大切、筆者もフィードバックすらせず、評価表や目標管理表が積んであるだけの会社を多く見て来た。また個人的成果主義によって損なわれがちな「チームワーク」に対する動機づけのメカニズムについても触れている。
オランダのジーグバルト氏は①業務に対するチーム共通の認識の仕方②報酬配分の論理③チームで求められる能力と知識の3つの共有を社員に促す動機づけが重要とあった。
いろいろと難しい内容であるが、働く人々の働き方については、それぞれの違いや個性がある、よってより柔軟な人事制度を作り、その運用について真剣に取り組み、絵に描いた餅とならないようにすべきではないだろうか。

2017/05/01 06:45

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