人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2017年11月 1日

旬(ビジネスサプリメント680号)

私は「旬」という言葉が大好きである。辞書で調べると「季節の食物の出盛りで、一番味のいい時期」とある。また「何かを行う最適の時機の意」ともあった。旬の食物で言えば春は鰆・伊予カン・筍等、夏は鱧・トマト・西瓜等、
秋は秋刀魚・人参・柿等、冬は鰤・牡蠣・蟹等のシーズンでもある。
人間にも「旬」があるのではないかと、感じる時がある。生活においても、仕事においても何事も調子よく、まさに順風満帆の時がそうなのか?それでは「何をやっても上手くいかない時」は旬ではないのか?何か人生に似ているような気もする。今は60歳の還暦・70歳の古稀を過ぎても、「老害」と呼ばれる人でない限り「旬」の方がたくさんおられる。
現在前職でシニア支援のお手伝いをさせていただいているが、70歳・80歳でバリバリ活躍されている方々とお話しすると「ロマン」や「夢」を感じるのである。まさに話題の書「ライフシフトー100年時代の人生戦略」の時代到来なのだ。高齢でも活躍されている方々はまさに「旬」であり続けておられるのであろう。
世の中はある日突然「解雇」されたり、倒産したりは日常茶飯事のごとく起こっている。私も54歳の時に大型倒産を経験し、多くの人々を解雇した経験があるが、あんなに辛い経験はない。しかし今になってつくづく思うのだが、すくすくと何もなく過ごせた人より、挫折を経験し乗り越えた人、嵐に耐え抜いた人ほど「輝いた顔をされている」のではないだろうか。
人間は順境ばかりではない、逆境を力にして跳ね返せる、そうすると「旬」となってくるのだ。
有名なサムエル・ウルマンの「青春の詩」を思い出した。「青春」を「旬」と読み替えて考えたい。「青春とは人生のある期間ではなく、心の持ち方を言う、歳を重ねるだけで人は老いない、情熱や理想を失う時、初めて老いる」。
「旬」の人はポジティブ発想をする、ネガティブにはならない。また他責にはせず、常に「自責」で考える人である。
食べ物の旬はまさにその時であるが、人間の「旬」は心の持ち方次第であり、変な言い方だが旬の人は「味のいい美味しい仕事や活動」が出来るのではないだろうか。

2017/11/01 07:18 |

2017年11月15日

決断は実践につながる(ビジネスサプリメント681号)

随分昔のことであるが、私が学校を卒業後入社して数年経過したころ、当時のトップに「早い判断」が良いのか、「正しい判断」が良いのかを尋ねたことを思い出した。トップ曰く「早い判断!」とお答えになられた。私は「何故ですか?」という愚問をしたところ、トップ曰く「判断というものにはタイミングがある、そのタイミングを逃すと何も残らない、やってダメなら修正すれば良い」と言い切られたのだ。なるほどそうかと納得したのである。
現在数々の大手メーカーの不正会計問題や品質データの改ざん、無資格検査問題等の不祥事が出てきているが、企業統治に誤りがあったのだ。「早い判断」で発表すればこんなに大きな問題にはならなかったようにも感じる。要はタイミングが遅いのである、しかも発表後必ず改善すると約束しているにも関わらず、末端現場まで周知されずに今まで通りの事例があり、より大きな問題となっている。まるで先頭列車が曲がっているのに、後続車両がそのままでは脱線してしまうではないか。
「現場こそ命」を忘れているのではないだろうか、現場から離れたところで
企業統治が行われているから、何も感じなくなってしまっているのは誠に怖い。
「判断」を辞書で調べると「前後の事情を総合して物事の是非曲直(どうするのが一番良いか)」を決めることとある。
それでは「決断」はどうであろう、「なすべき行動、取るべき態度等を迷わずに決める」こととあった。
今の時代に最も求められるのは「決断」ではないだろうか。失態企業に共通するのは「決断力」のなさではないか。あるいは「自己保身」の気持ちがあるからではないだろうか。「決断」することこそ実践につながるように感じるこの頃である。
自ら変革出来ないのは「決断力」が弱いと言わざるを得ない、先送りをし、今まではこうしているからという前例主義でごまかしたりすると、取り返しがつかない。
では何故決断出来ないのだろうか、それはトップ自身に「自信」がないか、
自分は責任を持ちたくないという逃げの気持ちのどちらかではないか。
失態から立ち直りいち早く、ガバナンス改革をしてその仕組みをつくり、早い判断から自信を持って「決断」していくことが求められる。

2017/11/15 06:49 |

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