管理する人、される人(ビジネスサプリメント696号)
一般的に組織体では良く管理と言う言葉が使われている。我々も人事管理・在庫管理・計数管理・管理職等々何気なく使っていることが多い。「管理する人、される人」と表現すると何となく「やらされ感」に満ちた嫌な響きに聞こえたりするものだ。「管理」を辞書で引いてみると「そのものが上手く保管されたり、そのものの円滑な働きが保てるように、何時も気を付けたりすること」とある。
このように上手く「管理」されている事例は極めて少ないのではないだろうか。
一般的に管理優先の組織は一見統率がとれているように見られるが、案外もろいものなのだ。管理が優先し過ぎると「従属型人材」が増え「自立型人材」が育たないような気がする。この厳しい環境下「自立型人材」でないと乗り切れないことが多い。自分がぶら下がる枝は自分で作らないとすぐに折れてしまう
ことが多い、だから自立しなければならない。バンジージャンプのロープはまずは飛び降りてからしかぶら下がれない。しかし今の時代は「ぶら下がり型」から「雲梯<うんてい>型」の世の中である、すなわちしばらくはぶら下がれるが、そのままだと落ちてしまう、前に進んでゴールしなければならないのだ。
野生の虎は餌を自分で獲らないと飢え死にするが、動物園の虎は餌を与えられて生きている。もしジャングルに放たれたら真っ先に飢え死にするのは動物園の虎であることは言うまでもない。
「依存型人材」を育てるのは旧来の管理スタイルであり、これからの管理者は「自立型人材」を育てていかねばならない。「うちの会社は指示待ち人間ばかりだ」と嘆くのは、自ら「依存型人材」を育成してきたからであり、言い換えれば「知らず知らずにやらせる管理」をしてきたからなのである。これからの管理とは「相手を納得させ、相手の考えていることを十分聴き自主的に実践してもらうこと」が求められる。以前ほど言われなくなったがまさに「ティーチング」から「コーチング」なのである。即ち相手を「受け入れ」そして「働きかけ」をしていきながら「気づかせて」指示命令ではなく、自ら動かせるのである。そこには「やらされ感」はなく「達成感」が醸成されるであろう。
指示しないとやらないのは、指示ばかりしてやらせてきたからであり、部下が上司を信頼しないのは、上司が部下を信頼してこなかったからである。今こそ旧来の管理スタイルから脱却し「部下にやる気を起こさせる」ことが非常に大切になってきた。山本五十六氏の有名な言葉の2番目は「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」だった。
2018/05/01 07:09 | パーマリンク