人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2018年1月26日

不正や隠ぺい(ビジネスサプリメント689号)

先日の日経新聞の「経営の視点」に面白い記事が掲載されていたが、経営者がどれだけ社員と意思疎通できているのかという内容だった。
私は前々職時代には「現場が命」を忘れずに、可能な限り売場を巡回して、販売員の表情や態度、商品の売れ筋、お客様のお買い物の様子をきめ細かく観察したものだった。
記事には日本航空をたてなおした稲盛氏の事が書かれていた。ご紹介すると「伊丹空港を稲盛氏が視察された時、カウンター勤務の若い女性社員が月2千円のコスト削減成果を発表されたようだ、金額の少なさに周りは困惑したが、稲盛氏は<そういう努力が一番大事なんだ>」と大いに褒め称えたらしい。そしてこの話がメールで部署を越えて広まったとあった。
私も現場を回ることが一番の仕事とした。ある時女性販売員から「店長、最近マネージャーに前年踏襲は止めようと言われたのですか?」と声を掛けられた。
確かに毎月管理職には現場で感じた事例を根気よくお話ししていたし、前年踏襲の話もしたのである。私は「したよ!」と答えたらその女性は「やはり!」と言うではないか。そこで私は「何かあったの?」と質問すると、彼女は「昨日朝礼でマネージャーが、前年と同じ商品や売り方ではもう売れない、みんなお客様目線で考えて売り方を変えていこう!」と話されたと言う。そこで私は「その言葉を聞いてあなたはどう思ったの?」と尋ねたら「何を言われているのか具体的な話はない、今までと同じ売り方で、同じような商品ばかりでは売れないことを一番感じているのは、実際に売っている私達なのだ」と思い少し腹が立ちましたと言うではないか。私たちは「マネージャーと一緒になってどのように売場を変えていくかを考えて欲しい」と言い切られた。私はその通りであり、言ったからではダメで、その言葉が現場でどのように捉えられたかの検証が大切だと、彼女から教わったのである。
現場を回る時は「ゆっくりとヒマそうに歩く」「声掛けする人は偏らない」を肝に銘じていたことを思い出した。
今大企業で起こっている不祥事は「現場目線」をないがしろにしているからではないだろうか。
この記事の最後に「経営者の指示に現場が反発するのはまだ健全な状態」で「面従腹背になったら、飛躍や革新どころか、不正や隠ぺいが起きかねない」とあった。

2018/01/26 13:18

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