人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2018年11月 1日

ガチやばい(ビジネスサプリメント709号)

先日の日経新聞で「ヒットのクスリ」と題した面白い記事が掲載されていたので少しご紹介する。自分の本当の魅力に気づかずに機会損失につながるケースが多い中2つの事例が掲載されていた。「ワークマン」は建設現場等作業着専門の会社だが、「プロ人口の減少」に危機感を強め、業務効率アップなどを優先しアウトドアを意識した商品企画をされたが上手くいかなかったという。
ところが2年半前から潮目が変わり、ワークマンの作業着は安く、頑丈という原点からぶれず、人手不足の作業員を集めるために「ファッション化」を進めたそうだ。これがSNSを通じて一般顧客の間で話題になり「ダサかっこいい」ブランドとして新風を吹き込んだのである。割安感が強く中堅アウトドアブランド並みの売上高に達するようだ。ワークマンの社長平野氏は「企業自身が気づかない潜在価値を開発することが重要」と述べておられた。
もう一方はタレントの出川哲郎さん、数年前までは少なくとも女性から敬遠されていたが、近年出演する旅番組なども人気で、本人が移動するだけで歓声が湧き起こるらしい。いつの間にか出川は"愛される出川"へと変貌を遂げたのである。出川さんの器用さは乏しいが、体当たりの芸風の魅力を当人たち以上に顧客が価値を認めたのだ。
そうあなたの知らない魅力を引き出せば、新しい良さが再発見出来るのだ。
そこでジョハリの窓を思い出した。ジョハリの窓とは自分が横軸で他人が縦軸、それぞれに分かっている、分かっていない、4つの窓を作る。Aの窓は自分も他人も分かっている窓、Bの窓は自分は分かっていないが他人は分かっている窓、Cの窓は自分は分かっているが他人は分かっていない窓、Dの窓は自分も他人も分かっていない4つの窓が出来る。Bの窓の他人が分かっている場合は、
積極的に意見を聴いてみよう意外なことが解るかも知れない。Dの窓の自他共に分かっていない場合は、ホンネでゆっくりと話し合ってみたら良い答えが出てくるものだ。
BやDの窓からあなたの知らない、出川さん流に言えば「ガチやばい」魅力が引き出せるのではないか。

2018/11/01 08:16 |

2018年11月15日

マエストロ(ビジネスサプリメント710号)

一生に一度はやってみたい仕事に「オーケストラの指揮者」をあげられることが多い。大阪のシンフォニーフォールはステージが少し前に出ているので、ステージの後ろ席から観覧したことがあった。普通は演奏中の指揮者の後ろ姿しか見えないが、後ろ席は顔が見え、全く違った環境で音楽を聞くことが出来る。指揮者が大きくタクトを振り、湧き出る力強いパワーや、緩やかな部分は非常に優しい顔をされているのが良く分かるのである。指揮者の表情やしぐさと共に音楽を楽しめる。
ある世界的に有名なマエストロ<指揮者を尊敬した言葉>曰く
「指揮者の仕事は、単にタクトを振るだけではない、その楽団の成長戦略を練り、採用オーディションに立ち会い、自らメディアに出るなど先頭に立って組織を売り込むこともする」と言われていた。特に首席指揮者のように楽団に対して大きな責任を持つ立場の指揮者は、経営者的な役割を果たすことが求められている。まさに企業のCEOに似ているではないか。
良い指揮者の条件は2つあり、一つは音楽に関する才能、もう一つは人としての資質だそうだ。同じ演奏でも指揮者が違うと全く違った演奏になるのも何となく分かる気がする。
指揮者のリーダーシップを企業組織のリーダーシップと比較してみるといろいろなことが考えられる。指揮者はオーケストラの全ての楽器を演奏出来るわけではなく、奏者を束ねることをしなければならない。楽団員のモチベーションを高め、素晴らしいことは褒めたり、しかしその後の指摘をしたりと、まさに組織のリーダーと同じである。指揮者が威圧的な態度だと奏者の気持ちも落ち込み、演奏にも響いてくる。力を入れる時と、やや緩やかな時の峻別も非常に難しいものだろう。
私も大きな組織の指揮をとったことがあるが、それぞれの仕事内容の経験はなくても、如何に一体感を醸成しまとめ上げることが出来るかが問われた。
メンバーそれぞれの特性や、体調管理や得意分野を把握は言うまでもない。
忘れてはいけないのは、楽団にコンサートマスターが存在し音合わせをするが、企業にもコンサートマスター的な存在は不可欠だと思う。
要は指揮する人と、メンバーとの信頼関係なくして良い成果を出すことは出来ないのである。

2018/11/15 08:24 |

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