以前地方へ講演に行った時のこと、最寄り駅から講演会場までかなりの距離があったので、迎えの車に来ていただいた。私は講演の時は必ず30分前には目的地に到着するようにしているのでしばらく待って、迎えの車に乗せていただいたのである。途中である交差点の信号機があり、随分赤信号が長いように感じたので、運転されている方に「この赤信号長いですね」と尋ねてみた。そうするとその方も「やはり、その様にお感じになりますか」と言われ、実は訳がありこの道はご覧の通り狭い道だが車も多い、今までは信号の間隔が極めて短かったために、赤に変わりそうになると無理に突っ込んでしまう車が多く、事故が絶えなかった言われるではないか。そこで今のように少し赤信号の時間を長くした経緯があったらしい。ところがその方曰く「長くすると余計に事故が増えました」と言われた。長く待たされるとドライバーは苛立ち、信号が変わる寸前に待ちきれずまた突っ込む車が増えてしまったと言う。「ドライバー心理」を考えずに帰納法的に考えた結果が招いたことではないだろうか。演繹法的な発想で、長くしてみたらどうなるかという仮説を立ててみることが欠けていたのである。
そう言えば自宅近くで小さな子供さんが、信号機ばかり見て青になったので
横断歩道を渡っていたのを思い出した。左右確認せずに「青は大丈夫!」と思い込んで渡ったのだが、子供さんに念のために「左右確認」ということが教える事が大事かも知れない。
また「赤信号でも左右に車が見えない時は、つい渡ってしまう」場面を見かけることも多い。
今「あおり運転」や「逆走」等、とても考えられない交通事故が多発しているのは誠に怖い。
我々もビジネス上において、このような事例に近いことに遭遇していないだろうか。お客様や、相手の問題提起に対して現象面だけを改善して解決と思ったら大間違いであろう。「相手の心理や行動まで読み取る」ことが混迷の時代に必要ではないだろうか。
2018/12/12 08:02