魳<カマス>(ビジネスサプリメント723号)
先日ある企業で「学習性無力感」のお話をした時のこと、聞いていたHさんが「学習性無力感」に大変興味を持たれ写真や図入りでまとめたニュースレターを作られて、私にくださったのである。
私の話しに更に付加した説明も入っており、面白い内容なのでお許しをいただいて少しご紹介したい。
カマスは新潟県より南の日本海沿岸、瀬戸内海、南シナ海、東シナ海などに広く生息していて、西日本で多く漁獲されている魚である。カマスの種類は約20種類で、一般的に市場に出ているカマスは、体調20~30cmほどの「アカカマス」と「ヤマトカマス」がある。また体長100cmを超える「オニカマス」もいる。ちなみにアメリカでは、「オニカマス」が小魚を猛スピードで突進して捕食する様子から「生きる魚雷」とも呼ばれているそうだ。カマスは「叺<かます」という日本語があるように、大きな口がその名前の由来になっているとか。
イワシなどの魚を捕食するために鋭利な歯もついており、実際とても攻撃的な魚だ。実はこのカマスの興味深い研究結果がある。
「カマスの法則」この現象を「学習性無力感」と呼ぶこともありどんな法則か?
① 水槽の中を2匹のカマスが自由に行き来できている状態で水槽にエサを入れると、カマスはエサに向かって凄い勢いでがっついていく、言うなれば「何の障害もない状態」である。
② 次にこの水槽に透明な仕切り板を付ける、そしてその先にエサを入れたらどうなる?カマスは透明の仕切り板があるにも関わらず、エサをめがけて猛突進!ところが仕切り板を突き破ってエサにたどり着くことは出来ない。するとカマス達は体当たりすることを諦めてしまう。
③ そのあと、透明な仕切り板を水槽から取り除いてやる、そうするとエサは食べられる状態になるが、カマス達はエサに見向きもしない、諦めるということがインプットされるのである(即ち無力感を学習する)。
④ そこで今度は、水槽に別の新しいカマスを入れてみる、新しいカマスは仕切り板があったことを知らないので普通にエサのあるところまで行ってエサに食らいつきガツガツ食べ始める。
⑤ すると、それを見た「諦めカマス」達は仕切り板のあった向こう側へ行きエサを食べ始める。
途中からやって来た新しいカマスの存在が「諦めカマス」が再び「がっつきカマス」になる活力を取り戻す刺激剤となる。学習性無力感はまさに③の状態で、
これは心理学者セリグマンによって提唱された考え方で、人間にも同じことが当てはまるのだ。
2019/06/01 06:44 | パーマリンク