昔は日本企業の3つの特色として終身雇用・年功序列・企業内組合があったが、もう遠い過去の話しである。組合の組織率の低下、年下の上司は当たり前の世界となった。
中高年になると超人でない限り体力は落ちてくるし、若い頃より生産性も下がるかも知れない。しかし一概に「歳」だけが問題だろうか。若いのに年寄りのような保身的・受け身的な人をよく見かける。またお歳召しておられるのに、聡明で気力・体力・知力がありお元気な方も多い。
私は二度中高年の方々の退職面談をした。一回目は「希望と言う名」の退職面談であったが、二回目は数百名の中高年退職勧奨的面談だった。単に年齢だけで線引きされた対象者であった。その時思ったが自分自身が辞めるのは簡単だが、退職勧奨は誠に辛い仕事である。自分自身も出社拒否的状態になったし、今でもいくら仕事と割り切っても心の大きな傷として残っている。
ある病院の院長が述べておられたのだが、その病院の外科医の次のようなお話を思い出した。「今病院はどこも満床で救急患者ですら入院させられない状態、これからという若者達が治療を受けられなくて助からないケースもある、先の短いお歳の方はみんな退院してもらい、若者達にベッド増やしてあげたい」というものだった。院長はとんでもない、「ベッドを増やす努力をすべき」とコメントされていたが、救急医療の救命優先度を決めるトリアージを思い起させる話である。
振り返って今の企業でもこのような乱暴な発想で中高年をリストラする企業を多く見かけるが「雇用のトリアージ」ではないか。そのような企業は将来きっと「破綻」するのではないだろうか?
もっと公平な尺度で判断していかないと、世界との競争力もますます落ちてくるし、閉塞状態が蔓延してくるように感じる。生産年齢人口が減少する現在、
ますます中高年を活かすやり方が求められている。
2019/07/01 07:24