今世の中では人生100年時代が叫ばれているが、現実60歳を過ぎると再就職先を探すのは大変難しい。筆者の60歳代の知人で退職して6ケ月が経過してもなかなか次が決まらない方がおられる。書類選考で没になり、面接にまで進まないようだ。
大企業の中高年リストラでお辞めになり、再就職された時に使ってはならない「出羽の守」という言葉を思い出した。以前の職場を引き合いに出すので「前のさん」「元のさん」という別称まである。
そう言えばご支援していた会社でも「出羽の守」はおられた。ご本人はごく自然に発言されておられるのであろうが、他のメンバーは「また始まった」というような顔をされている。「元の職場と、今の職場」は違うのである。個別にご本人をお呼びして直接に示唆をしたことが何回もあった。
恥ずかしながら実は筆者も破綻して辞めて次の職場で「出羽の守」になったことがあった。決して無理やりにその会社のやり方に合わせろと言っているのではない。転職すれば与えられた与件の中で「パッション」「ミッション」「アクション」の3つを忘れてはいけない。むしろ「こんな時どうするのですかね?」と聞かれれば、「元の職場では〇〇でしたね」というようなやり取りが自然であり、今までの経験を活かさない手はない。問題は発言のタイミングや「場の流れ」を読むことである。また論理的に言わなければ、聞く人達に対しての説得力もないし、反発心だけが残るだけではないだろうか。
中高年で転職された場合に一番大切なことは経験上次の4つではないだろうか。
① 体力・気力は自己コントロールすること<自分自身しか出来ない>
② スキルは常に高める努力を怠らないこと<昨日のことは即陳腐化する>
③ 「誠実さ」を肝に銘じること<実るほど頭を垂れる稲穂かなである>
④ 「柔軟性」を心がけること<相手に対する感受性を高めること>
前職にこだわっていても何のプラスにもならない。特に柔軟性を持って「ものは言いよう」という言葉を思いだすことが大切である。
2020/01/10 08:58