現場の事故やミスをなくすためには、ルールづくりが絶対に必要なことは言うまでもない。かなり前だがある大きな造船工場を見学した時、必ずヘルメットを被り安全靴を履き、指差し呼称で「右よし!」「左よし」と徹底されていたのを思い出した。この工場はメンバー全員が作業現場で必ず「何故?」を感じることありきが癖になっていたのだ。
また以前お菓子の製造工場に訪問した時、「何故、製造工程ごとに静電気が帯電するのを防ぐ装置があるのか?」という疑問を持った方とお話ししたことがあった。引火や爆発の恐れのある危険物を扱うメーカーならいざ知らず、食品の製造工程で「何故なのだろう?」と思われたようだ。これは「毛髪の混入を防ぐ対策の一つであり、乾燥した室内ではいくら帽子を被っても万が一床の上に落ちた毛髪があれば静電気の作用によって60~70cmの高さまで吸い上げられて製品に混入してしまう可能性があるから」だと分かったと言われたのを思い出した。まさにHOWよりWHYの考え方を持っておられたのである。
最近あるご支援先を訪問させていただいた時、従業員の方々全員が笑顔で
「いらっしゃいませ」と気持ちの良い挨拶をしていただいたことがあった。
誰も挨拶すらされない事業所を見かけることがあるが、誠に情けない状況と言わざるを得ない。
「挨拶」とはこころを開いて相手に迫るという意味がある。挨拶をされたご支援先は単にマニュアル通りに挨拶するのではなく「どのように言うのか?」よりも「何故言うのか?」という事を全員が理解し徹底されていたのだ。
単なるマニュアル型の挨拶では気持ち良くはならないのは言うまでもない。
人を育てる時も全く同じではないだろうか?HOW型の教え方はなかなか考える力が付かない、今はWHY型の育成法が求められている。「教えない教え」という言葉があるように、これは「何故そのようにするのか自分で考えて行動させる」という教え方なのだ。
How-to本を読んでも実践に結びつかないことが多い、「問題意識=WHY」を極めることが今の時代は最も大切ではないだろうか。
2020/10/01 08:14