「転石苔<こけ>を生ぜず」ということわざがある。このことわざには2つの意味があるようだ。
「転職や転居ばかり重ねていると、財産も地位も身につかない」というものと
「常に活動しアクティブな人は何時までも新鮮で古くはならない」の2つだ。
前者は定職・定住を促すものであり、後者は絶え間なく研鑽することを勧めている。
京都の世界遺産(世界文化遺産)西芳寺(さいほうじ):苔寺(こけでら)は誠に美しいが、ビジネスキャリアで考えると後者でありたいし、いつも変化しチャレンジしていきたいと思う。
我々以前の時代は入社後定年まで一途に勤め上げて、定年の挨拶状に「無事大過なく過ごした」なんて言葉もあったがもう今の時代では通用しない言葉となっている。
最近30歳代の方とお話しをしたが、その方は何と5回も転職されて、「今は自分がやりたかった仕事に取り組んで、毎日が楽しい」と言われた。嫌だから前の会社を辞めたのではなく、アクティブマインドだから苔は生えてはいないし、転がる石になっていたのである。
世間には自己啓発のためのセミナーにせっせと通い、成功本を買いそろえる人も多い、しかもスキル本ばかりだ。そのこと自体は大切なことであるし、他人の成功談を知るのは自分の容量を広げる事にもつながり、人脈も広がるだろう。
しかし私の経験上時間が経てば消えてしまうことが多い。むしろ失敗談を聴いた方が忘れないかも知れない。この類は「気づくだけではダメで、如何に実践に移し、変化を楽しむ余裕」があるのかが問われる。
そのためには捨てるべきものを捨てる勇気と、守るべきものを守る信念を持ち、自分で整理して、新しく気づいたことを実践に移すことが必要なのだ。
転がる石になるにはまず実践しなければならない、そして晩年には立派な苔となり、光り輝く生き方をしたいものだ。
2019/03/01 08:41