先日の日経新聞に「人生100年時代の罪」と題して旬の記事が掲載されていた。最近は「人生100年時代」という言葉はリンダ・グラットン氏の「ライフシフト~100年時代の人生戦略」という著書が出されて以来、当たり前のように使われている。記事を少し紹介すると、安倍政権が「人生100年時代構想推進室」を立ち上げたのが2017年9月だったようだ。主旨は<新たなことにチャレンジしようという意欲ある人たちが学び直し、新たな人生を始めることが出来る。そういう社会にすることで、日本は活力ある社会を維持し、発展することが可能になる>と国民に呼びかけたとあった。
世界銀行の調べによると、16年時点で日本の平均寿命は84歳で香港に次ぐ世界第2位となり、医学の進歩もあり平均寿命は延び続けており、人生100年も夢ではないような時代になって来たようだ。
一方「定年後40年?足りるかな、お金」という長い老後に備えた資産運用を勧めるTVCMもあるらしい。定年が無くなったり、60歳定年が65歳になったり、70歳代でも働いている人が増えて来た現実もある。また人生が長くなるとやりたいことが出来る時間が増える半面、長い老後をどのように暮らすのかという不安も出てくるのではないだろうか。
総務省の家計調査によると18年の平均貯蓄率は26,6%で2000年以降では最高になったらしい。収入が増えても、将来への不安から消費を抑える傾向も
とみに強まっているのではないだろうか。雇用者報酬は増えたが、なかなか消費に結びつかないし、盛り上がらない、今後のための生活防衛もあるのだろう。
織田信長の好んだ「人生50年、下天のうちをくらぶれば・・」という敦盛の一節も紹介されていたが「100年時代だったらあれだけ天下統一を急いだだろうか」と書かれていたのは非常に印象的だった。
要は「人の生きる長さ」よりも、「どのように生きるか」が問われる時代に突入したのである。
2019/04/01 06:30