以前に次のような話を聞いた。ビジネス上の打ち合わせのためお客様が発注依頼先を訪問された時のことである。最寄り駅から工場までかなりの距離があったのでお迎えの車に乗せてもらったそうだ。その途中に信号があり、信号の「赤」が異常なほど長かった。そのお客様がお迎えの方に「この赤信号は随分長いですね!」と言われた。そうするとお迎えの人も「やはり、そのようにお感じなりますか、実は訳がありまして、この道はご覧の通り狭いでしょう、今までは信号の間隔が短かったために、赤に変わりそうになると無理に突っ込んでしまう車が多く、事故が絶えなかったのです」と言われ、そこでもう少し赤でゆっくり待たそうということで、赤信号の時間をあえて長くしたという事だった。
「しかし、余計に事故が増えました、長く待たされるとドライバーはいらいらするのでしょう、信号が変わる寸前に待ちきれず、突っ込む車が増えて事故も更に多くなったそうです」とのこと。
次は警察の方に聞いた話だが「青信号で渡るのに小さな子供さん達に事故が多い」と言われた。話は単純で「青は大丈夫」と思いこみ、左右を確認せずに渡ってしまい、右折や左折の車を殆ど意識しないので巻き込まれる事故が多いらしい。
初めの話しは「ドライバー心理」を考えずに、帰納法的に考えた結果だからそのような現象が起きたのだろう。では今度は逆に演繹法的な発想をしてみて、
長くしたらどのようになるかという仮説を立ててみることだ。そして検証すると「やはりおかしい」という事が解かる。そうすると再度仮説を立てていくという事が欠落していたのだろう。
2つ目の話しも「青は渡れる」と思いこみ念のため左右確認が必要と教えられていなかったからかも知れない。
我々もビジネス上において、この事例に近いことに遭遇していないだろうか。
お客様や、相手の問題提起に対して現象面だけを改善して解決と思ったら大間違いである。
「相手の心理や行動まで読み取る力」をつけていくことが大切である。
2020/04/01 08:49