先日日経新聞の別冊に、野球評論家の権藤博氏(81歳)の面白いお話しが掲載されていた。氏は78歳で日本代表に参じるなど「生涯投手コーチ」の道を歩んでこられた。無理せず我慢せずという自然体が元気の秘密らしい。
中日ドラゴンズ入りした61年に35勝、翌年も30勝で連続最多勝、登板過多で肩を痛め、短い選手生活に終わった経験から、現代野球の継投理論を編み出した。98年横浜(現DeNA)を率いて38年ぶりのリーグ優勝、日本一。2017年ワールド・ベースボール・クラシックで日本代表コーチ、19年に野球殿堂入りを果たした輝かしい経歴の持ち主なのだ。
中でも特に面白いエピソードが掲載されていたのでご紹介する。
新鮮さを保つ秘訣はと問われて「いつもハッとする瞬間を探していることかな。指導の勉強で米国のマイナーリーグに行ったとき、学校を出たての子が、何回練習しても出来ないのをみかねて、教えたんです。すると向こうのコーチに言われました。<ゴンドウ、教えてくれるのはありがたいが、ヤツのためにならないからやめてくれ>と。人に教わったことは忘れるが、自分でつかんだことは忘れない。だからオレは選手が自分で気づくのを待っていたんだ」と言われたそうだ。「それを聞いてハッとしましたね。教えるだけがコーチじゃない。あれ以来、ハッとする瞬間との出合いが生きがいになりました」と掲載されていた。そう「気づき」それを「実践」することが最も大事なことなのである。
即ち「教える」とは「気づきをナビゲートする」ことではないか。
私も「気づき」を大切にしているが、答えを教えてもらったことは「やらされ感」、自分で気づき答えを見つけたことは「達成感」につながるのではないだろうか?「気づき」の講演会をしていると、言うことは分かるが「時間」がかかるので、なかなか出来ないというご意見をいただくことがある。しかし時間がかかると諦めてはダメ、「気づかせる」根気と熱意が求められるのではないだろうか。
2020/06/01 08:30